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真紅の花嫁
第9章 蘇芳の埋火


どうやら若い男を呼んで、綾音といちゃつかせようというらしい。

綾音は明らかに嫌がっている。
当たり前だ。
恋人の前で、ほかの男といちゃつくなんて、まともな女性ならできるはずがなかった。

それなのに、綾音はそれを受け入れている。
自らの気持ちを抑えて、愛する男に従う姿は、いっそ健気とすらいえた。


(だけど……
    こんなこと、許されていいの?)

ワンルームで繰り広げられる異様な状況。
亮が見せると言った〈いいもの〉の正体に、動揺を抑えきれない。



真波は最初、そんなものを見るつもりはないと断った。
どうせまた、〈調教レポート〉と称する、卑猥な映像のようなものだろうと思ったのだ。

けれど、真波の映っている映像データを消去するかわりに、この部屋にもう少しいろと言われれば、拒否することはできなかった。


綾音が来る前に、作りつけのクローゼットに隠れるよう指示された。
愚かで滑稽なことをしていると感じながら、衣類の間に立った。

ルーバー式の扉から覗いていると、ワンルームに綾音があらわれた。
思いつめた表情で、悄然としていた。


ほどなく顔を見せたのが、三輪だった。

少年に見られながら、本当に綾音とキスをしている。
ロクな人間ではなかった。


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