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真紅の花嫁
第9章 蘇芳の埋火


衣類に囲まれた薄暗い空間で真波が見守るなか、太い腕が、たおやかな丘陵に伸びる。


ソファはちょうどクローゼットの正面にあった。
白いシフォンブラウスにそっと手をかぶせ、やんわりと動かす様子がよく見える。

キスで塞がれたピンクの唇から、うぅ、と小さな呻きが上がった。

「三輪さん、どう?
   ぼくの恋人のおっぱいの揉み心地」

「ああ、すごくいい」

口づけを解いて、大柄な若者はため息を洩らす。

「柔らかいでしょう?」

「そうだな。
  めちゃくちゃ柔らかい」

もう一つの手も、女の胸に被せた。

両方の大きな手で、大胆に女子大生の双乳を揉みはじめる。
ふわふわの薄生地の下で、女らしいふくらみが哀れに形を変えた。


綾音はちらちらと亮の方を見た。
眉がハの字になって、目尻に涙が浮かんでいた。


(助けを求めているのに)

亮はカウンターに片肘をついて、椅子を立とうともしない。

少年に対する怒りと、それに唯々諾々と従う女子大生へのいらだちで、真波はきりきりと歯ぎしりする。


亮の言った「復讐」という言葉がよみがえる。



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