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真紅の花嫁
第9章 蘇芳の埋火
姫川家の令嬢の口唇奉仕を見るのは、これで何度目だろう。
何度見ても、身が焦げそうな眺めである。
いや、これまでは、好きな男への心を込めた奉仕だった。
はしたなく、ふしだらな行為だったが、愛情と執着が感じられ、思い返すと胸が熱くなる。
だが、今、クローゼットの外で行われている行為は、まったく違う。
好きな男に見られながら、見知らぬ男への奉仕。
それなのに、明らかに綾音は昂奮していた。
首筋を朱に染め、裸の上半身がしっとりと汗で濡れているのは、屈辱や恥辱だけではない。
間違いなく官能のきざしだった。
(最低……)
胸裏で侮蔑の言葉を発しながらも、真波の心はさざ波を立てる。
(もしも
……陽介さんの前で)
婚約者の前で亮の屹立に奉仕する自分の姿が、脳内に浮かんだ。
ゾクンッ、
と背筋に妖しい電流が走る。
思いがけない情動に、真波はあわてた。