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真紅の花嫁
第12章 桃色の悪夢


「綾音さ、美術館のトイレでもやったんだよね」

「だって、ご主人さまが……」

「ひとりエッチ、したんだろ」

ちらりと真波の顔をうかがい、綾音は首を縦に振った。
耳が真っ赤になっている。


「何にも知りませんってお嬢さま顔して、ほんと、スケベな女だよな。
  ねえ、今とどっちが昂奮する?」

「……そんなこと、わかんない」

「嘘つけ。
  見られながらのほうが昂奮してるくせに。
  ほら、真波さんも聞こえるよね。
    ヌチャヌチャいやらしい音が」

「いやあっ、言わないで」

綾音はウェーブヘアを振ったが、それでも、右手を小刻みに前後させ続ける。

淫靡な音色の音量が上がった。



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