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真紅の花嫁
第14章 茜色の空

そうだ。思い出した。
文化祭の当日だった。
思いつきの行動ばかりする実行委員会。
問題を起こす男子生徒。
融通の利かない教師たち。
つかえない後輩。
しわよせはすべて真波に来た。
文化祭が終わった時は疲れ果てた。
それでひとりになりたくて、美術室にこもったのだ。
壁の絵をぼんやりと眺めていたのだ。
眺めているうちに、絵の色が変わってきた。
オレンジ色から茜色に。
さらに濃くなってゆく。
幻をなのだろうか。
違う。
たしかに夢の中だったが、間違いなくかつての体験でもあった。
美術室の窓から差し込む夕陽に染まっているのだと気づいて、身体を起こしたのを覚えている。
窓の外を見た。
真っ赤だった。
空が、怖いくらいに燃えていた。
その色は夢の中で今も鮮明なのに、その時見ていた絵が何かは、どうしても思い出せない。
 

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