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真紅の花嫁
第14章 茜色の空
あの日のことを思い出すたび、羞恥と自責で消えてしまいたくなる。
陽介に対する罪悪感はもちろんだが、それより自分への失望感に打ちのめされた。
軽率や愚行は、自分とは無縁のことだと固く信じていた。
はずなのに――
ひと回りも下の高校生と一線を越えただけではない。
あれほど深く鮮烈なエクスタシーは生れてはじめてだった。
立て続けにイッたこともはじめてなら、失禁するほど感じたのもはじめて。身も心も震える、衝撃的な体験だった。
気がつくと、手足の拘束を解かれていた。
シャワー室に導かれ、全身の汗と汚れを洗い流した。
その間ずっと綾音はベッドで意識を失ったままだった。
粗相の痕跡はきれいに掃除されていた。
新しい衣服を渡され、タクシーで自宅の前まで送ってくれた。
別れ際に亮が耳元でささやいた。
「ひとりでしちゃだめだよ」
「……!」
するわけがないでしょ、と口にしかけた言葉を呑み込んだ。
しかし――
そう言われたことで、何もしないでいるだけで、少年の命令に従っているような気になってしまう。