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真紅の花嫁
第14章 茜色の空


ファミレスのドアが開いた。


入ってきた女は真波に気づくと、かるく眉を上げた。
地味な服装をした中年の女性だ。案内しようとする店員にこちらを示し、無表情で近づいてくる。


「すみません、お呼び立てして」

真波は立ち上がって、望月紀美子に頭をさげた。


「よくわたしの携帯番号がわかったわね」

「桐原くんの緊急連絡先にありましたから」

「個人情報を私的な目的に使るのはどうかと思うけど」

メタルフレームの眼鏡の奥で、切れ長の眼が冷たかった。


ドリンクを運んできた店員が去ると、女教師はめんどくさそうに、

「で?
   亮について何が知りたいの?」

数日前に連絡を入れたときは、桐原亮について訊きたいことがあるとだけ伝えていた。
断られるかと覚悟していたが、案外あっさりと受けてくれた。

互いに都合のいい時間と場所を決めて待ち合わせとなった。


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