この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
真紅の花嫁
第14章 茜色の空
ファミレスのドアが開いた。
入ってきた女は真波に気づくと、かるく眉を上げた。
地味な服装をした中年の女性だ。案内しようとする店員にこちらを示し、無表情で近づいてくる。
「すみません、お呼び立てして」
真波は立ち上がって、望月紀美子に頭をさげた。
「よくわたしの携帯番号がわかったわね」
「桐原くんの緊急連絡先にありましたから」
「個人情報を私的な目的に使るのはどうかと思うけど」
メタルフレームの眼鏡の奥で、切れ長の眼が冷たかった。
ドリンクを運んできた店員が去ると、女教師はめんどくさそうに、
「で?
亮について何が知りたいの?」
数日前に連絡を入れたときは、桐原亮について訊きたいことがあるとだけ伝えていた。
断られるかと覚悟していたが、案外あっさりと受けてくれた。
互いに都合のいい時間と場所を決めて待ち合わせとなった。