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真紅の花嫁
第6章 蜜色の警告
口を押えていた手がゆっくりと離れた。
「今日のこと、誰にも言わないで欲しいんだよね」
頬を軽く撫でられた。
皮膚の表面に、ザワザワした感覚が走る。
軽い電流を当てられたみたいだった。
少年の手指は、ゆっくりと首元へと降りてきた。
鎖骨のくぼみの小さなジュエリーに触れ、黒いフリルブラウスのボタンにとどく。
(早く声を上げなくちゃ
……た、助けを呼ばなくちゃ)
そう思っても、喉がこわばって声が出せなかった。
じっと見つめるふたつの瞳に魅入られたかのよう。
視線をそらそうとしても、そらすことができない。
両手の自由が利かないだけで、恐怖と不安が襲いかかる。
震えをこらえるのがやっとだった。
「いいよね。黙っていてくれるよね」
ブラウスのボタンを外されていくのに、何の抵抗もできない我が身が歯がゆかった。