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団地妻、桃香の青春とは……
第5章 マッサージ店

淡々とした口調で、先生の講義は始まった。

「今をさかのぼること数百年前、はるか戦国の時代に、武将たちは天下取りをもくろみ、また、生き残りを図るために、忍者を使って諜報戦を繰り広げておりました。忍者たちもまた、戦国の世を生き抜くために、創意工夫してあらゆる技法を案出するとともに、心身を鍛錬していたのです。そんな折、伊賀の按摩と、甲賀のくノ一忍者が共謀して、男をたぶらかす究極の技法、“マラ殺し”を編み出したのです。さらに修練して完成度を高めた技が、“紅サソリ”なのです。この技法を現在まで連綿として伝承し、指導できるのは、伊賀で生まれた私の祖父と、甲賀で育った私だけなのです。私は甲賀のくノ一として、幼き頃から忍法を修練し、全身の筋肉を鍛錬しているのです」

いかにもまゆつば臭い話だと言わんばかりに、友美は眉を寄せて桃香を見つめる。
桃香は疑問をいだいて、先生に質問をはさむ。

「伝承し続けているのが、どうして父上じゃなくて、祖父なんですか?」

淡々とした口調で、先生は答える。
「私が幼少のみぎり、父は伝承の最中に、腹上死したと聞いております。殉職です」

「じ、殉職……?」
「そうです。それゆえに、幼き私が父に代わって、祖父より修練を受けたのです」

面食らって目玉を剥き出している二人を無視して、先生はホワイトボードにイラストで描かれた図面を貼り付けたのです。

「これから本題に入りますので、しっかりお聞きください。上のイラストの赤色で塗られている部分は骨盤底筋、および青色が太ももの内転筋です。そして、下のイラストは膣内の拡大図です。膣道縦筋、膣道横筋、膣壁上筋と下筋が示されております」

「へーえ、膣内にそんな筋肉があるんですか? クリトリスなら知ってるけどさあ」
友美が興味深そうに問いかける。

「筋肉はありません。作るのです」
「作るって? どうやって?」

唖然としてボードを見上げる二人に、先生は図面を指して解説をする。

「骨盤底筋と内転筋を鍛えることにより、膣内の皮膚細胞が刺激されます。その皮膚細胞を、我々が編み出した技法で筋肉に変えるのです。膣口から子宮頚部に至る膣道に筋肉を作り、自在に膣筋肉を操る究極の秘技なのです」


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