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団地妻、桃香の青春とは……
第6章 桃香の青春

夜が明けてようやく目を覚ました少年は、ズボンを脱がされ、ブリーフからチンポが剥き出しなのに驚いた。
テントから顔を出すと、爽やかな山の冷気にベーコンエッグとコーヒーの香りが鼻を突く。
「あら、ようやく目覚めたようね」
友人の声かけに、少年はうつむいて元気がない。
「どうしたの? もしかして昨夜のこと、後悔してるの?」
「えっ、後悔って?」
「あんた、覚えてないの? 酔っぱらって暴れて、私たちを強姦したこと、覚えてないの?」
友人の演技は空々しかったけど、泥酔して記憶の無い少年にとっては、はなはだ衝撃的なハッタリだったのかもしれない。
「えっ、う、嘘でしょ?」
「私たちはあんたに強引に犯されたんだから、責任とってもらわなくちゃあね」
「えっ、責任って?」
「私たちの命令を、何でもきいてもらうわよ」
このあと友人は、少年を完全に制御して、卒業するまで弄んでいた。
桃香は受験勉強に追い立てられて、書道部への顔出しも儘ならず、少年と言葉を交わす機会もなくなった。
テントの中で唇を奪ったとはいえ、少年は泥酔状態で意識はなかった。桃香にとっては中途半端に心残りで、青春時代の初恋は、ミディアムレアの焼き豚みたいに不完全燃焼に終わってしまったのだ。
その後、友人と少年は結婚したと噂に聞いた。
桃香は友人に青春を奪われた……。
トンビに油揚げをさらわれるように、桃香は青春をさらわれたのだ。
そのふがいなさがトラウマとなり、思い出の中に小さなシミとなってこびりついている。
あの少年の面影と、テントで奪った唇の感触が、18歳高校生の蒼汰に重なる。
今再び神様は、青春の息吹を私に蘇らせてくれたのだ。

