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団地妻、桃香の青春とは……
第7章 修練と嫉妬

濁った空気が寝室にこもって淀んでいる。
新鮮な外気に入れ替えようと、レースのカーテンをサッと寄せて窓を開いた。
蒼汰が部屋にいないことは承知だが、なにげなく向かいの窓を覗いてしまう。
顔を出して向かいの部屋に目をやると、なんとしたことか、若い女性が窓から顔を覗かせているではないか。
桃香は慌ててレースのカーテンで顔を隠した。
カーテンの隙間からこっそりと盗み見ると、女性は気持ち良さそうに微笑んでいる。
高等学校の同級生だろうか。溌剌として爽やかな表情で、空を見上げて深呼吸をしている。
女性の背後に、蒼汰の横顔がチラリと見えた。
とたんに、窓がピシャリと閉じられた。
桃香の嫉妬に火がついた。
窓の向こう側で、蒼汰と女が二人っきりで、いったい何が行われているのだろうか。
受験勉強で忙しいから、私には会えないと拒絶しておきながら、同級生を連れ込んで何をしているのか。キッスをして、オッパイを揉んで、セックスをしているのだろうか。
そう思うと、悔しくて腹が立つ。
冷静に考えれば、若い二人が恋をして、愛をむつみ合う方が正当で、自分のようなおばさんが、高校生とセックスをしている行為が邪道なのだ。
分かっているけど、胸が震えて嫉妬に狂う。
受験勉強の邪魔をしないようにと私は自戒して、メールも電話も控えているのに、どうして蒼汰は女なんかを連れ込んでいるのだ。
私がおばさんだから、もう飽きてしまったのか。
私を抱きたくないのか。セックスをしたくないのか。プレゼントが欲しくないのか。
思いめぐらし、考え過ぎて、その夜はろくに眠れなかった。

