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団地妻、桃香の青春とは……
第9章 合格祝い
蒼汰からメールが届いたのは夕刻だった。
「合格しました!」
すぐに桃香はメールを返した。
「おめでとう、蒼汰くん! パチパチ! 念願の東京で、新生活の始まりだね。その前に、早く蒼汰くんと会いたいな」
明日にでも会えると期待していた桃香だが、蒼汰の返信は意外だった。
冷や水を浴びせかけられたような内容で、出鼻をくじかれてしまったのだ。
「しばらく会えないかもしれません。友だちとかの合格祝いの食事会が続きそうだし、埼玉の叔父さんが大学入学時の保証人だから、挨拶に行かなくちゃいけない。1週間くらい泊まりになるかな」
叔父さんと聞いて、桃香の胸に不安が走った。
いつか蒼汰の部屋の窓から顔を覗かせた、従妹の可憐な表情が桃香の頭をよぎって動揺したのだ。
叔父さんの家で1週間も、いったい何をしているのか。叔父さんが会社に出勤して、叔母さまが外出すれば、従妹と二人きりになるではないか。
だけど、自分の思い違いかもしれないと思い、蒼汰に確認のメールを送った。
「埼玉の叔父さんって、もしかして、従妹の家?」
「そうだよ」
素っ気ない蒼汰の返信が、桃香の嫉妬心を沸騰させる。
「可愛い従妹のお嬢さんと、1週間も一緒に過ごすの? 彼女の部屋で二人っきりになったら、危険な関係になっちゃうんじゃないの?」
「うーん、誘われたら、ヤルかもね。だって、桃香さんが童貞の僕に、初めてヤリ方を教えてくれたんだから」
蒼汰の開き直った言い方に、軽んじられたような気がして、嫉妬に加えてちょっぴり怒りさえ覚えた。