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団地妻、桃香の青春とは……
第1章 愛のセールスマン

男性は、納得の笑顔で言葉を継いだ。

「あのう、私はこれからこの団地をセールスに回るのですが、もしご迷惑でなければ、どなたかを紹介していただけませんか?」

「いいですよ」
いとも簡単に桃香が応じる。

「この下の階の田辺さんだったら、きっとこのコンドームを気に入ってくれると思いますわ。そうだ、これから訪問しますって、電話してあげますよ」

「え、本当ですか? ありがとうございます」

スマホの呼び出し音が途切れて、田辺夫人の声が飛び出す。

「はい、どなた?」
「あら、田辺さん。私です、桃香ですよ」


電話の相手が桃香だと分かった田辺夫人は、オナニーで濡れた手をパンティから引き出して、遠回しに探りを入れてくる。

「あら、桃香さん。今日はなんだか騒々しいけど、どなたかお客様がお見えになってるの?」

「はい、そうなんですよ。実はね、コンドームのセールスの男性が訪問販売に来られて、とっても良い商品を買わせてもらったんですよ。田辺さんもきっと、気に入るんじゃないかと思いましてね、ご紹介しようかなと思って……」

「ふーん、コンドームか……」

つぶやきながら、田辺夫人はいぶかっていた。コンドームのセールスマンと甲高い喘ぎ声とが、どう考えても結びつかない。それに、コンドームを売りつけられても、中折れの亭主には役に立ちそうもない。


田辺夫人の逡巡を機敏に察した桃香は、いかにも内緒話を気取って、声をひそめてささやいた。

「コンドームを装着して、実体験もさせて頂けるんですよ、ふふふ」

田辺夫人はピンときた。天井の振動の理由が分かった。
だけど、喘ぎ声は1人じゃなかった。

「ねえ、桃香さん。もしかして、友美ちゃんも一緒なの?」
「はい、そうですよ。彼女もすっかり気に入っちゃって、半年分も買いましたのよ、ふふふ」

乱交パーティは3人だったのか。セールスマンの男は桃香と友美の、2人を相手に戦った猛者なのだ。
田辺夫人は飛びつきたい気持ちを晒さないように、慎み深く言葉を選んだ。

「そうねえ、せっかく紹介してもらって、断るのも悪いわよねえ」

「そうですわ、田辺さん。とっても真摯な対応ですから、商品の効果も、じっくりと体感できますわよ」

「そうねえ、じゃあ、お待ちしてるわ。セールスの方に伝えてちょうだい」

「はーい」


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