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団地妻、桃香の青春とは……
第2章 桃香と友美

桃香は自衛隊員の真司と結婚し、勤めていた銀行を寿退社した。
しばらくアパート住まいをした後、横須賀の団地に引っ越して来た。
現在32歳。

友美は高校を卒業して、顔が可愛いからという理由だけでIT企業の受付に採用されて、システムエンジニアの健介と恋仲になって結婚した。
現在25歳。

新築されたばかりの横須賀の団地へ、桃香と友美の夫婦が同時に引っ越してきたのは、2年ほど前のことだった。
同じ棟の3階のドア向かいということもあり、二人はすぐに親しくなった。


ようやく引越しが終わったと思ったら、桃香の夫の真司は初めての海外派遣を命じられた。半年の予定だったのが、現地の紛争が長引き延長されたのだ。

6畳1間のアパートから3LDKの団地へ引っ越したおかげで、部屋は広くなったのだけれど、突然一人ぼっちにされて寂しくなった。

今さら退社した銀行に戻って勤務する気はないし、時給の安いアルバイトで時間を潰そうとも思わない。

赤ん坊でも生まれればママ友ができたり、子育てに気が紛れるのかもしれないが、身体に不具合も無いのになかなか妊娠しない。


友美夫婦も子供は欲しいと思っているのだが、同様になかなかできない。
ただ少し、桃香夫婦とは事情が違っていた。

夫の健介が仕事で忙し過ぎて、過労で睡眠不足で徹夜勤務もしばしばだから、性行為が思うに任せないのだ。

そういうわけで桃香も友美も、暇を持て余しているだけでなく、セックスをしたくてもできない苛立ちに、心が満たされずにいたのです。


そんな時、桃香が旅行雑誌を眺めていると、東北地方の秘湯の宿が紹介されていたので目を留めた。いかにも清々しい光景が、見開きの写真を添えて掲載されていた。

深山の新緑を仰ぎ見ながら、渓谷の露天風呂に裸身を浸す。
混浴の広大な岩風呂はいかにも開放的で、一人ぼっちの時間を癒すに申し分ないと思えた。だけど、一人旅は気が引ける。

そうだ、友美も暇を持て余しているはずだと思い立ち、誘ってみようと考えた。


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