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団地妻、桃香の青春とは……
第2章 桃香と友美

桃香と友美は東京駅で、東北行きの新幹線に乗り換えた。
久々に列車の旅で、修学旅行の気分で心が浮き立つ。

おしゃべりをしているうちに乗換駅に到着し、4両編成の列車に乗って山深い温泉の駅をめざす。

無人の駅に降り立つと、周囲は山々に囲まれていた。
視界は緑に覆われて、ひたすら静寂の中に野鳥のさえずりだけが梢に跳ねる。

誰もいない改札口を出ると、マイクロバスが迎えに来ていた。
電車を降りたのは桃香と友美だけだったから、この時間の送迎客は2人しかいないということになる。

山の中の駅を出発したマイクロバスは、さらに奥深い山中へ向けて細い山道を登って走る。
到着したのはまさに秘湯の一軒宿で、建屋の造りは百年以上の趣を感じる。

案内された部屋から渓谷が見渡せる。窓を開けば眼前に山肌が迫り、呼吸の息が新緑に染まりそうで、思わず桃香が感嘆の声を上げる。

「わあーー、素敵じゃない」

「うん、感動だね。わたし、初めてだよ、こんな山奥の宿なんて。癒されるね」

「友ちゃん、温泉に入ろうよ」

窓外を眺めてたたずむ友美を急かして、桃香は宿の浴衣にさっさと着替える。
友美も着替えて、タオルを持って部屋を出る。


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