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団地妻、桃香の青春とは……
第4章 蒼汰くん

そうして次の日曜日、桃香は朝早くに目が覚めた。

今日もまた、向かいの窓から双眼鏡で覗かれるのかと思ったら、胸が高鳴り目も冴えて、ドキドキして眠れなくなった。

こちらが覗き見に気付いていることを男は知らない。
だからといって、何度もオナニーを見せて痴態をさらせば、男に飢えた淫乱な女と思われてしまう。

だったら、窓もカーテンも閉じればいいのか。
それでは全てが終わってしまう。
じゃあ、どうすれば良いのか。

時間はどんどん経過していく。
とりとめのない思考の繰り返しに、苛立ちがつのる。


苛立ちが頂点に達した時、ぱっと妙案がひらめいた。
それは、ちょっと危険な冒険だった。

生牡蠣を食べたいと思っても、食中毒が怖くて尻込みするような……、
ふぐ刺しを、ちょっぴり痺れるくらいの肝毒を添えて、味わってみたいけど死ぬのはいやだ。

ひらめいた妙案が、毒と危険をはらんでいると思えば、深く考えるほど躊躇する。

だけど、実行するしかないだろう。
崖から落ちて傷ついても恥をかいても、どうせこのままでは終われないのだから。

そう考えると、矢も盾もたまらなくなった桃香は、ベッドから起き出して白紙とマジックペンを取り出した。

しばし考えて、白紙にペンを走らせた。

“私の名は桃香、32歳”と、書いて、スマホのメールアドレスを書き込んだ。
その下に、“あなたの名前と年齢を知りたいな”と、書き添えた。

向かいの窓からよく見える位置に椅子を置き、メモを書き込んだ紙を立て掛けた。
肉眼では無理でも、双眼鏡ならば絶対に読み取れるはずだ。


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