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団地妻、桃香の青春とは……
第4章 蒼汰くん

いつものようにベランダの窓を開け放ち、タオルケットを蹴飛ばして、下着姿もあらわに桃香は鏡を見つめて待った。
午前9時を回って、桃香の心臓が早鐘を打つ。
キャミソールの上から乳房を押さえる。
窓は開くだろうか?
メモを見た男は、どんな反応を示すだろうか?
何も反応を示さなければ、下着姿の私はどうすればいいのか?
いつものように、オナニーをして見せるのか?
そんなことできない。私は商売女じゃないのだから。
ならば、どうすれば……?
そんな先まで、考えてなんかいなかった。
あっ、開いた! 窓が、開いた……!
男は見ている。双眼鏡でじっとこっちを見ている。
私の下着姿を見ているに違いない。
メモに気付いて欲しい。
双眼鏡を動かして、メモに気付いて欲しい。
双眼鏡は動かない。
しびれを切らして、桃香はメモを指差した。
双眼鏡がキラリと陽光に反射した。
あっ、消えた。
窓から、双眼鏡の顔が消えた。
桃香は待った。再び男の顔が、窓に現れるのを待った。
しばらくの間をおいて、桃香のスマホがポポンと鳴って、メールの着信を知らせた。
ベッドサイドに手を伸ばしてメールを確認すると、未登録のアドレスからの着信だった。

