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第1章 一話 占姫と占い

ふと気になる文章を見つけ手を止める。
そこには辻占いという占い方法が書かれた記事をみつける、私は色々な占いを試して来たが唯一辻占だけはまだ試した事が無かった。
辻占とは、日本で行われた占いの一種。

夕暮時四つ角に立ち、通りを行き交う人々の話す内容を基に占う占い。
かつては十字路を行き交う人々の会話に神様からのメッセージが隠されていると、考えられていた。
占い師に占ってもらう事もなく、特に何か道具が必要な訳でも無いので誰でも簡単に直ぐ占う事が出来る占いだ。

勤務時間も過ぎていき、彼方お兄ちゃんも帰宅してきて先程の事は何も無かったかの様な対応で挨拶だけして帰路へとつく。

「今日は疲れたし、コンビニで良いかなぁー」

今朝からの事と言い、あまり気分も乗らず今日は自炊では無くコンビニで済ませようと近くのコンビニへと入れば缶チューハイ、酒のつまみのチーズ、惣菜等を購入しエビとアボカドのバジルソース冷製パスタを購入しようとレジへと並ぶ。

帰宅時間という事も有り、そこそこの列が出来ていた、自分の番が来て会計を済ませれば店を出、例の四辻の方角へと歩いて行く。

四辻に着けば日も落ちてきていてもう少しで夕日が沈むといった頃合いだった。
そんな中で通行人の邪魔にならぬ様に少し避けては、急に緊張して来る気持ちはあるが深呼吸をして気持ちを整え心の中で彼方との今後はどうなるのかと問いながら初めての通行人を待つ。

目の前から話しながら歩いて来る二人組の女性が居た。
その女性達が通るのを待つが、次の瞬間急に身体が引っ張られる様に女性達とは逆側。
自分の背後が凄く気になり咄嗟に振り向く。

すると、そこには顔立ちが整った170センチ半ば、20代半ば位の男性がこちらをじっと見つめて立っていた。

知り合いでも無い、名前も知らないそんなどこの誰かも分からない彼が何故か気になってしまう。
辻占の最中だと言うことも忘れつい彼に見入ってしまい、互いに見つめ合っている一瞬の間、辺りが静まり返り静寂が流れ時が止まった気すらした。

ふと彼が視線を外した瞬間にまた現実世界に戻された様な感覚になりハッとして彼から目を離し次に目を向けた時には彼はもう居なかった。