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RINZIN ー隣人ー
第2章 第一話

(や、やべぇ……なんだ今の、かわいすぎるんだが……)
涼太は不覚にも、か細い声で自分を呼び止める北野にドキッとしてしまう。高熱でうなされているのもあるのだろうが、困り顔で「行かないで」と懇願するその様子はあまりにも──男がそそるなにかがあった。
「わかった……わかりました。行かないから。だからちょっと保冷剤持ってくるね。待ってて?」
「うん……。ありがとう……コウタケ……さん……」
涼太はキッチンへ行き冷凍庫から保冷剤を取り出すと、それをタオルにくるんだ。
「はいこれ……。こんなんしかないけど、無いよりはマシだと思うから」
「ありがとう……。冷たくてきもちい──」
ほどなくして、北野からかすかな寝息が聞こえてくる。どうやら眠ってしまったようだ。
「ふぅ……。ったく、とんだおとなりさんだよなぁ……」
帰宅するなりここまでまさかの展開の連続だったが、ようやくここでひと息をつく涼太。
未だにこの部屋の中に北野が居ることが不思議でしょうがなかったが、なによりそれは北野本人の希望である、仕方あるまい。
しかし──こうして今あらためて冷静になってみるといろいろ疑問がわいてくる。まず部屋の鍵を落としたと言っていたが、北野は手ぶらだった。ひょっとするとカバンごとどこかへ置き忘れてきたのかもしれない。あるいはひったくりか──しかしそれならば、入れないとわかっている自宅に帰ってくるのもいささか妙だ。
こんな非常事態、おまけに発熱もある。ほかに頼るアテがなかったにしろ、涼太の部屋の前で倒れていたのはただの偶然なのだろうか。北野の服装から、ポケットなどにほかの所持品が入っている様子もない。となれば、おそらくスマホも持っていないのだろう。誰にも連絡すらできずに路頭に迷っていたところ、隣人である涼太に望みをかけたのだろうか──わからない。
(まぁでもこれで……さっそく俺んとこにあいさつしといた甲斐があったってわけだ。それはそれで笑えるよな)
涼太は不覚にも、か細い声で自分を呼び止める北野にドキッとしてしまう。高熱でうなされているのもあるのだろうが、困り顔で「行かないで」と懇願するその様子はあまりにも──男がそそるなにかがあった。
「わかった……わかりました。行かないから。だからちょっと保冷剤持ってくるね。待ってて?」
「うん……。ありがとう……コウタケ……さん……」
涼太はキッチンへ行き冷凍庫から保冷剤を取り出すと、それをタオルにくるんだ。
「はいこれ……。こんなんしかないけど、無いよりはマシだと思うから」
「ありがとう……。冷たくてきもちい──」
ほどなくして、北野からかすかな寝息が聞こえてくる。どうやら眠ってしまったようだ。
「ふぅ……。ったく、とんだおとなりさんだよなぁ……」
帰宅するなりここまでまさかの展開の連続だったが、ようやくここでひと息をつく涼太。
未だにこの部屋の中に北野が居ることが不思議でしょうがなかったが、なによりそれは北野本人の希望である、仕方あるまい。
しかし──こうして今あらためて冷静になってみるといろいろ疑問がわいてくる。まず部屋の鍵を落としたと言っていたが、北野は手ぶらだった。ひょっとするとカバンごとどこかへ置き忘れてきたのかもしれない。あるいはひったくりか──しかしそれならば、入れないとわかっている自宅に帰ってくるのもいささか妙だ。
こんな非常事態、おまけに発熱もある。ほかに頼るアテがなかったにしろ、涼太の部屋の前で倒れていたのはただの偶然なのだろうか。北野の服装から、ポケットなどにほかの所持品が入っている様子もない。となれば、おそらくスマホも持っていないのだろう。誰にも連絡すらできずに路頭に迷っていたところ、隣人である涼太に望みをかけたのだろうか──わからない。
(まぁでもこれで……さっそく俺んとこにあいさつしといた甲斐があったってわけだ。それはそれで笑えるよな)

