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RINZIN ー隣人ー
第6章 第五話

「……そういや、なんで入浴剤にしたんだ? このセットどう見ても女子向けっぽい感じだし。ありがたいけどさ」
「あー……えっとね、実はこれ……いただきものなの。ごめん……失礼だよね」
「あ、そうなん? ならなおさら……俺がもらっちゃってよかったの? 自分で使えばよかったのに」
「うん……。というか、ほんとはふつーのお洗剤セットみたいなのを買ってあったんだけど……ここに引越してきた日にね、私の部屋の真下の……えっとなまえ……」
「104号室ならたしか……ああ、あのキモい男だろ、デブの」
「あ、うん……てかキモいとか言わないの。で、その人に偶然アパートの前で会ったとき、私がちょっと買いもので荷物がたくさんあってね。タクシーからおりたはいいけど一回じゃ部屋まで運べないなあと思ってたら、運ぶの手伝ってくれて。だからお礼に……」
「お、お礼にっ……!?」
「ん? そう、お礼にその洗剤セット、104号室の人にあげちゃったの。でもおとなりさんのぶんしか買ってなかったからどうしようかな、また買わなきゃって思ってたんだけど、今あんまお金もなかったから……うん。で、そのときにこの入浴剤セットもらってたの思い出して、それで……ごめんね。なんか使いまわしみたいにしちゃって……」
「な、なんだ……そっか。よかった」
「え? よかったってなに……?」
「い、いや……なんでもない。気にすんな」
(なんだ、『お礼に』とか言うからてっきり──)
涼太がそう思ってしまうのも無理はないのかもしれない。だって今こうして自分が芽生の身体にありつけているのも、もともとは親切にした『お礼』なのだから。少々考えすぎかもしれないが、実際にその恩恵を受けている身からすればそんな邪推をしてしまうのも仕方ないだろうか。
「あー……えっとね、実はこれ……いただきものなの。ごめん……失礼だよね」
「あ、そうなん? ならなおさら……俺がもらっちゃってよかったの? 自分で使えばよかったのに」
「うん……。というか、ほんとはふつーのお洗剤セットみたいなのを買ってあったんだけど……ここに引越してきた日にね、私の部屋の真下の……えっとなまえ……」
「104号室ならたしか……ああ、あのキモい男だろ、デブの」
「あ、うん……てかキモいとか言わないの。で、その人に偶然アパートの前で会ったとき、私がちょっと買いもので荷物がたくさんあってね。タクシーからおりたはいいけど一回じゃ部屋まで運べないなあと思ってたら、運ぶの手伝ってくれて。だからお礼に……」
「お、お礼にっ……!?」
「ん? そう、お礼にその洗剤セット、104号室の人にあげちゃったの。でもおとなりさんのぶんしか買ってなかったからどうしようかな、また買わなきゃって思ってたんだけど、今あんまお金もなかったから……うん。で、そのときにこの入浴剤セットもらってたの思い出して、それで……ごめんね。なんか使いまわしみたいにしちゃって……」
「な、なんだ……そっか。よかった」
「え? よかったってなに……?」
「い、いや……なんでもない。気にすんな」
(なんだ、『お礼に』とか言うからてっきり──)
涼太がそう思ってしまうのも無理はないのかもしれない。だって今こうして自分が芽生の身体にありつけているのも、もともとは親切にした『お礼』なのだから。少々考えすぎかもしれないが、実際にその恩恵を受けている身からすればそんな邪推をしてしまうのも仕方ないだろうか。

