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RINZIN ー隣人ー
第6章 第五話
 二人は浴室を出る。
 洗面台下の収納から「元カノ」が置いていったスキンケア用品を取り出す涼太。

 「どう? 使えそう?」
 「わあ……コレ、けっこう高いやつばっかりだよ? いいの……?」
 「へぇーそうなん? 全然興味ないから知らんかった。いいよいいよ、もう二度と会うことねぇし」
 「ありがとう。ねぇねぇ、元カノさんどんな人?」
 「ん? まあ普通」
 「なにそれ(笑)ひどいー」
 「んなもんどうでもいいだろ(笑)さ、メイク落としなよ」

 芽生が化粧を落としているあいだ、涼太は扇風機のまえで涼む。ただいま季節は六月上旬、そろそろ夏に向けて暑くなってくる時期だ。

 (あちぃ……つーか腹減ったな……考えたらきのうからなんも食ってねぇや)

 「──おまたせ~。ごめんねすっぴんで。はずかし」
 「お……い、いや、全然……つーか俺はこっちのほうが……」

 (は? やべえだろこれがすっぴんとか。そんな変わんねぇどころかむしろ……)
 
 もちろんメイクも似合っていたが、しかしそれ以上に涼太には芽生の素顔が魅力的に映った。そしてなによりすっぴんだと、実年齢を加味してもより一層のあどけなさが際立つのだ。

 (やべ……せっかくちょっとおさまってたのにまた……てか顔見ただけで勃起するとか終わってんな俺……)

 「──あ、そういや腹減ってない? 晩飯まだだろ?」
 「減ってる……実はさっきちょっとお腹鳴っちゃった。きのうからなにも食べてなくて……」
 「マジ? なんだ俺といっしょじゃん。よし! じゃあちょっと飯食い行くか?」
 「いいの? あ、でも私お金持ってきてないから……」
 「あーあーいいってそんなん気にすんな。さすがにそんくらいおごるし。ラーメンでいい?」
 「うん! ラーメンだいすき♡ やったあ」
 「じゃあ決まりだな。あ、せっかく風呂入ったんだから楽な格好したいだろ? アレなら着替えてくる?」
 「あ……実は私、今まともな服これしか持ってなくて……」
 「は? マジで!?」
 「うん……」

 (そういやこいつはじめて会ったときからずっとおんなじ服だよな……)

 十代の女子が一張羅というのも妙な話である。おそらくそこにはなにか事情があるにちがいないが、あまり踏み込んだことを聞くのもどうかと思う涼太。
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