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RINZIN ー隣人ー
第6章 第五話

「……じゃあ貸してた服お前にやる。ブカブカでいいならそれ着てろよ」
「え、そんなっ……悪いよぉ」
「いいよ。パンツもいるか?(笑)なんてな」
「涼くん……ありがとう」
そのとき、芽生の黒目がちな瞳が若干うるんでいるように見えたのは気のせいだろうか。
こうして二人は涼太行きつけのラーメン屋へと車を走らせる。目的地につくまでのあいだ、涼太は助手席の芽生の手をずっと握っていた。
「──へいらっしゃい! お、涼ちゃんじゃねぇか。あれ、どしたのそんなべっぴんさん連れちゃって……めずらしい。ひょっとして『コレ』かい?」
ラーメン屋の対象が小指を立て、昭和のジェスチャーで出迎える。
「ちげーよ(笑)う~んそうだな、なんつーか……あ、『おとなりさん』だよな? 芽生」
「え? あ、う、うん……! 涼くんのおとなりのものです……」
「がははっ! なんだそりゃ。涼ちゃん嘘つくにしたってもっとマシなのがあんだろーよ! まあいいや。涼ちゃんはいつものでいいかい? おとなりさんはどうする?」
このラーメン屋は、涼太が大学時代にずっとバイトしていた店だった。底抜けにあかるいこの大将が切り盛りしている小さな店だ。
「──へいお待ち! あ、おとなりさんににはチャーシューサービスしといたから」
「えー! ずりぃ……俺なんか一度もサービスしてもらったことねぇのに」
「そりゃお前あたりめーだろ暑苦しい野郎になんかサービスするかってんだ。さ、食べとくんな~」
鶏がらベースの透きとおったスープ。ラーメン激戦区の熾烈な争いからは距離を置いたその素朴な中華そばは、インパクトにこそ欠けるが、かえってシンプルさを極めた気品すらただよう。
「──おいしい。え、待って……すごくおいしい」
「だろ? 大将みたいに見た目は地味だけどな」
「あん? 涼ちゃん一言多いぞ!」
芽生はスープをひと口飲むなりその味に舌鼓を打つと、小声で涼太にたずねた。
「あ、あの……涼くん、ここフォークあるかな?」
「え、そんなっ……悪いよぉ」
「いいよ。パンツもいるか?(笑)なんてな」
「涼くん……ありがとう」
そのとき、芽生の黒目がちな瞳が若干うるんでいるように見えたのは気のせいだろうか。
こうして二人は涼太行きつけのラーメン屋へと車を走らせる。目的地につくまでのあいだ、涼太は助手席の芽生の手をずっと握っていた。
「──へいらっしゃい! お、涼ちゃんじゃねぇか。あれ、どしたのそんなべっぴんさん連れちゃって……めずらしい。ひょっとして『コレ』かい?」
ラーメン屋の対象が小指を立て、昭和のジェスチャーで出迎える。
「ちげーよ(笑)う~んそうだな、なんつーか……あ、『おとなりさん』だよな? 芽生」
「え? あ、う、うん……! 涼くんのおとなりのものです……」
「がははっ! なんだそりゃ。涼ちゃん嘘つくにしたってもっとマシなのがあんだろーよ! まあいいや。涼ちゃんはいつものでいいかい? おとなりさんはどうする?」
このラーメン屋は、涼太が大学時代にずっとバイトしていた店だった。底抜けにあかるいこの大将が切り盛りしている小さな店だ。
「──へいお待ち! あ、おとなりさんににはチャーシューサービスしといたから」
「えー! ずりぃ……俺なんか一度もサービスしてもらったことねぇのに」
「そりゃお前あたりめーだろ暑苦しい野郎になんかサービスするかってんだ。さ、食べとくんな~」
鶏がらベースの透きとおったスープ。ラーメン激戦区の熾烈な争いからは距離を置いたその素朴な中華そばは、インパクトにこそ欠けるが、かえってシンプルさを極めた気品すらただよう。
「──おいしい。え、待って……すごくおいしい」
「だろ? 大将みたいに見た目は地味だけどな」
「あん? 涼ちゃん一言多いぞ!」
芽生はスープをひと口飲むなりその味に舌鼓を打つと、小声で涼太にたずねた。
「あ、あの……涼くん、ここフォークあるかな?」

