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RINZIN ー隣人ー
第7章 第六話
 薄暗い玄関には、足の踏み場もないほどにスニーカーやらサンダルが散乱していた。芽生はそれを避けるようにして靴を脱ぎ、部屋にあがる。

 どうやら家の中には誰もいないようだ。

 芽生はまずキッチンへ向かうと、買ってきたケーキを冷蔵庫にしまった。

 お世辞にもきれいとはいえない築の古い3DKの団地。部屋中散らかり放題のその場所が、芽生がきょうまで育ってきた実家であった。

 この家には芽生をはじめ、父、兄、弟の四人が暮らしている。母親は芽生が中学生のころに離婚しており、それ以来会うこともなければ現在は消息すら不明だった。

 芽生はひと息つく間もなくキッチンで夕食の準備をはじめる。母親がいなくなってからこの家での家事はすべて芽生の仕事だった。

 この日は弟、航生こうきの誕生日。現在中学一年生、きょうで十三才になる。先ほどのケーキはそのお祝いのためだった。

 (コウ……ごめんね)


 そして夕方、航生が学校から帰ってきた。

 「──ただいまー!」
 「あ、コウおかえり~」

 芽生に似て整った顔立ちの美少年。身長は標準より小さく小柄である。つい数ヶ月前まで小学生だったその顔にはまだまだ相当なあどけなさが残っていた。

 「うわっ! めっちゃうまそ……てかねーちゃん、豪華すぎない? いいの??」

 食卓に並べられたハンバーグや唐揚げなど、料理の数々を見て目を輝かせる航生。

 「へへ~。きょうはコウの好きなものばっかりにしたよ。あ、あとケーキも買ってあるからね」
 「ねーちゃん……ありがと」
 「さ、ちゃっちゃとお風呂入っちゃって。そしたらいっしょに食べよ」
 「うん! ソッコー入ってくる!」

 (ごめんね。でもおねえちゃん、もう決めたの──)
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