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RINZIN ー隣人ー
第11章 第十話
 数分後、涼太の部屋へ芽生がやってくる。

 「──えへへ♡ いきなり来てごめんねっ。もう寝ちゃったかなって思ってたんだけど……」
 「ん。ところでなんの用?」
 「涼くん……?」
 「なんだよ」
 「……なんか怒ってる? やっぱり迷惑だったかな……」
 
 芽生に対しあきらかに素っ気ない態度をとる涼太。もちろん涼太の気持ちなど知る由もない芽生は、そのいつもとちがう雰囲気に少し戸惑っているようだ。

 「迷惑……そだな。迷惑っちゃ迷惑かもな」
 「涼くん……?」
 「うちのアパート壁薄いんでね。男連れ込むのは好きにすりゃいいけど、もうちょい音とか気にしてもらえませんかねぇ、って」
 「え……? な、なんのこと……かな」
 「へぇ、一応しらばっくれるんだ。まあいいけど。俺たまたま見ちゃったんだよね、お前が変なオッサンと二人でアパートの階段昇ってくところ」
 「……そっか。見られちゃってたんだね……」
 
 そう言うと芽生はうつむき、押し黙ってしまう。

 「まあべつに? 俺らただのおとなりさんだしな。お前が誰となにしてようが関係ねぇけど。だからこれは隣人からのただの苦情だ。あのきっしょいオッサンにも伝えとけよ、声がうるせえってな」
 「……ゴメンナサイ」
 「それから、この前言ったこと……なかったことにしてくれ」
 「え……?」
 「俺、お前のことなんてもう好きでもなんでもねぇから」
 「涼くんっ……ちょ、ちょっと待って……」
 「……なんだよ。つーかお前、俺のことバカにしてんだろ?」
 「そ、そんなことっ……ない……」
 「ケッ、どうだか。じゃあなんで今ここへ来たんだ? あ? オッサンだけじゃもの足りなかったからとか? いいよな~その顔と身体がありゃいくらでも男がホイホイ釣れて」
 「ちがうよっ……!」
 「なにがちがうんだよ。なんだかんだそれっぽいこと言ってっけどさ、結局お前は男なら誰でもいいんだろ? 俺が告ったのだって迷惑だったよな。あーアホらし」
 「……」
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