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RINZIN ー隣人ー
第11章 第十話
 「あれが私の仕事なの。私、ああいうことして生活してるんだよ」
 「し、仕事って……バイト掛け持ちしてたって言うのは嘘か……?」
 「ちょっと前まではふつうのバイトもしてた。けど、ああいうこともずっとしてるの」
 「そ、それって要するに……」
 「そうだよ。私、身体売って生活してるの。中学生のころからずっと。ひいた?」
 「い、いや……そりゃ、ちょっとびっくりはしてるけど……」
 「へへ。『けど』、ね。やっぱり嫌でしょ? こんなコ彼女にはしたくないんじゃないかな」
 「ち、ちが……いきなりそんなこと言われても困る、ってだけだよ」
 「ふふ。涼くんはやっぱやさしいなあ。でも無理しなくていいよ。涼くんの言うとおり、私はお金のためなら誰とでもなんでもしちゃうから。でも……」
 「でも……?」
 「お金のためにするセックスもね、気持ちいいときもあるんだよ。良い人もたまにいるし。でも、そうじゃないこともいっぱい。したくないなぁって人としたくないことをしなきゃいけなくてさ。そうするとね、自分からこの人と『したい』って思えるときが、なんていうか……ものすごく特別なことのような気がして」
 「お、おう……それはべつにいいけど、で、なんでそれが俺なんだ? そう大してイケメンでもねぇし、早漏だし……」
 「ふふ。ねぇ涼くん。このままじゃダメ?」
 「え……?」
 「今のままじゃダメかな。もう私としたくない……?」
 
 ここぞというタイミングを狙ったかのごとく、芽生は上目遣いに涼太を見つめる。
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