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第112章 深夜8　天使と悪魔の境界線

深くは聞けていないけれど、
タケトは父親のことを毛嫌いしていたようだから、
愛する佳奈子と二人で
「駆け落ち」してきたという
ことなのだろうか？


つまり二人は、
書類上は「親子」として
移り住んできていながらも
家の中では
「恋人同士」として暮らしている。
ということなのだ。


聞かされても困る
衝撃的な内容だった。
あの佳奈子さんと
まだ中学生のタケトくんが、
裸で抱き合っている姿は、
容易には想像できなかった。


そして、その佳奈子に
恋人ができ温泉旅行に
出かけてしまったから、
タケトの関心が、
綾子に向けられてしまったのだ。


以前から、
綾子に、亡き母親の面影を見て
その姿を追いかけていたタケトが
昨夜と今朝の様子から、
ヒロシと綾子との仲に
感づいてしまったのだ。


でも、朝、出かけるのを見送り、
新幹線の駅にいる時に
電話でも話したヒロシが、
舞い戻ってきて、
ベランダから侵入してきていることには
気づけていないだろう。


アタシが、
ヒロシくんでもなく
管理人さんでもない
また別の男を連れ込んでいる、
タケトくん、
そう思っているのかしら、、、