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第57章 ２日目・深夜8　嬉々一発

綾子を捨てるように
彼は去っていった。

彼とは、それっきりになった。

そのあと、産婦人科で診てもらったけれど、
結局妊娠はしていなかった。
心因性のことで遅れていたらしい。
あまりにも酷く惨めな教え子との関係に
将来を見出せず、
綾子の心にはとんでもない負担が続いていたのだ。

動画や画像もリベンジされた様子はなく
そこだけは安堵していた。

あの時以来、
年下と付き合うこともなかった。
気持ちがわからずに、振り回されてしまう。
もちろん、激しく愛されたいという気持ちもあるけれど、
臆病になって身近な男か、
安全は男を
選んでしまっていた。

何人か付き合った後に、
人に紹介されて今の夫と出会った。

今の夫は、普通すぎるくらい普通で、
でも綾子には、その時は、ちょうどよかった。
子どももでき、普通に幸せな家族。
それで十分なはずだった。

でも気づいたら
物足りないさを感じている自分がいた。
だから、
最初に付き合った元彼に会いたいと思ってしまったのだ。

それまでは浮気もしたことがなかったから
たった一度の、過ち。
でもそれを見られてしまっていたのだ。

そして今、
その見られた隣人の青年との
情事に堕ちようとしている。

それはそれで
運命なのかもしれない。