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第63章 ３日目・朝4　一男（いちなん）去ってまた一男

「キミは？」
「あ、管理人さんですか、
綾子さんの隣の家の住人です。
初めまして、、、ですよね」


ヒロシが近づいてきてくれて、
綾子は、ようやく
痴漢されている悪夢の状況から
逃れることができた。


しかもただの悪夢ではない。
綾子をアクメへと誘う、
淫惑のものだった。


ヒロシに見られながら、
そのアクメの扉を開けてしまうことは
なんとか避けられた。
でも、残り火はカラダの中で
熱を持ったままだ。


嬉しさの反面、
カラダは、予想外に
管理人の痴漢する手や指の動きを
覚え込んでしまっていた。


こんな下品で醜悪な男、
身近にいたことはなかった。
付き合ったことももちろんない。
綾子の清楚で理知的な雰囲気は
そんな男を寄せ付けてこなかったのだ。


なのに、どうしてだろう。
結局、痴漢されている間、
身が竦むようで、
拒むことも大きな声を上げることも
できなかった。


アタシ、、、
イヤと言いながら、受け入れてたの？
そんなこと、ありえないよね、、、


こんなのすぐに忘れなきゃ、
そう自分に言い聞かせてみたものの、
何か深いところに刻み込まれた、
強烈な体験だったことには違いなかった。


もしかして、
今までとは違う扉を
開けることができたのかもしれない、、、


毛嫌いする管理人の
下品な声、
ギラついた顔、
這いつく手のひら、
荒々しい指先、
いやらしすぎる。

どれもイヤ。
本当にイヤ。


その扉を開けなくて、
良かったのよ、、、


忘れなきゃ、
忘れなきゃ、
忘れなきゃ。