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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
翌朝、カミリアは朝食を終えるとラウルの看病をしに、彼の部屋へ行く。ラウルはベッドに座り、食後のお茶を飲んでいた。昨日と比べるとだいぶマシになってはいるが、顔色はあまりよくない。
「やぁ、カミリア。昨日は迷惑をかけたね。僕はもう大丈夫だよ」
「嘘つかないで。ずっと前から無理をしていたくせに」
カミリアにピシャリと言われ、ラウルは目を見開く。表情が見る見る間に曇っていき、大きなため息をついた。
「誰に聞いたの?」
「オネストから聞いたわ。シャムスの騎士団長になったこと、彼らに黙ってたのね。シャムスとフェガリを頻繁に行き来してたら、倒れるのも当然だわ」
「あのオネストがそんなこと喋るなんて。カミリアはすごいね。片道2時間くらいだし、その間にも公務はできたから、割と楽だったんだけどなぁ」
ラウルが苦笑するが、その表情は弱々しく痛々しい。
「嘘おっしゃい。じゃあなんで倒れたの?」
ラウルはお茶をひと口飲むと、うなだれる。カミリアは答えを待つが、答えて貰えそうにない。
「ねぇ、なんで騎士団に入ったの?」
「だから、」
「嘘つかないで」
カミリアが縋るように言うと、ラウルは彼女の顔をじっと見つめる。やがて諦めたように笑い、ため息をつく。
「敵わないな」
「え? 今なんて?」
その声はあまりにも小さくて聞き取れず、聞き返すが、なんでもないと首を横に振る。
「いいよ、本当のことを話そう。向こうに座ろう」
ラウルはソファを指さした。カミリアはラウルの身を案じ、その手を握る。
「ここでいい。無理しないで」
「背もたれがあった方が楽なんだ。それと、ルナに頼んで飲み物を持ってきてもらおう。きっと、長話になるから」
フラフラ歩くラウルに肩を貸して彼をソファに座らせると、ルナを探しに部屋を出る。階段を降りていると、途中でルナに出くわした。
「ルナ、ちょうどいいところに。ラウルの部屋に、ふたり分のお茶を持ってきてもらっていい?」
「はい、すぐにお持ちします」
ルナは花が綻ぶ様な笑顔を浮かべると、軽やかに階段を降りていった。カミリアが部屋に引き返す途中、廊下を走るルナを叱るオネストの怒声が聞こえた。
「やぁ、カミリア。昨日は迷惑をかけたね。僕はもう大丈夫だよ」
「嘘つかないで。ずっと前から無理をしていたくせに」
カミリアにピシャリと言われ、ラウルは目を見開く。表情が見る見る間に曇っていき、大きなため息をついた。
「誰に聞いたの?」
「オネストから聞いたわ。シャムスの騎士団長になったこと、彼らに黙ってたのね。シャムスとフェガリを頻繁に行き来してたら、倒れるのも当然だわ」
「あのオネストがそんなこと喋るなんて。カミリアはすごいね。片道2時間くらいだし、その間にも公務はできたから、割と楽だったんだけどなぁ」
ラウルが苦笑するが、その表情は弱々しく痛々しい。
「嘘おっしゃい。じゃあなんで倒れたの?」
ラウルはお茶をひと口飲むと、うなだれる。カミリアは答えを待つが、答えて貰えそうにない。
「ねぇ、なんで騎士団に入ったの?」
「だから、」
「嘘つかないで」
カミリアが縋るように言うと、ラウルは彼女の顔をじっと見つめる。やがて諦めたように笑い、ため息をつく。
「敵わないな」
「え? 今なんて?」
その声はあまりにも小さくて聞き取れず、聞き返すが、なんでもないと首を横に振る。
「いいよ、本当のことを話そう。向こうに座ろう」
ラウルはソファを指さした。カミリアはラウルの身を案じ、その手を握る。
「ここでいい。無理しないで」
「背もたれがあった方が楽なんだ。それと、ルナに頼んで飲み物を持ってきてもらおう。きっと、長話になるから」
フラフラ歩くラウルに肩を貸して彼をソファに座らせると、ルナを探しに部屋を出る。階段を降りていると、途中でルナに出くわした。
「ルナ、ちょうどいいところに。ラウルの部屋に、ふたり分のお茶を持ってきてもらっていい?」
「はい、すぐにお持ちします」
ルナは花が綻ぶ様な笑顔を浮かべると、軽やかに階段を降りていった。カミリアが部屋に引き返す途中、廊下を走るルナを叱るオネストの怒声が聞こえた。