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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
 それから2日間、ラウルは任せられる公務をオネストに任せて養生した。カミリアはナイフの稽古をする時間にラウルの話し相手になり、それ以外の時間は勉強に勤しんだ。

 倒れてから5日目の朝、ラウルはようやく食堂に姿を現した。過保護なオネストが無理やり寝かせていたおかげか、顔色もすっかりよくなっている。
「おはよう、ソニア。君と食べるのは久しぶりだね」
「おはよう、ラウル。元気になってくれてよかった」
 それはソニアとしてではなく、カミリア自身の本音だった。一時はどうなるかと思ったが、またこうして一緒に食事をできることが、素直に嬉しい。

「今日はナイフの稽古をしている時間にダンスを見てあげるよ」
「ありがとう」
 笑顔でお礼を言うものの、不安が拭いきれない。あんなに踊れなかったのに、相手が変わるだけで踊れるようになるのか、甚だ疑問だった。

 朝食が終わると、ふたりはカミリアの部屋に行く。練習のために置かれた蓄音機でワルツを流すと、ラウルはカミリアの右手を握り、左手を彼女の腰に手を添える。今までにない近距離に緊張してしまい、固まってしまう。
「ほら、僕の肩に手を置いて」
「えぇ……」
 言われたとおりに空いている左手をラウルの肩に置くと、彼の合図でステップを踏み始める。すぐにラウルの足を踏んでしまうのではないかと心配したが、杞憂だった。

 ラウルのリードで、思うようにステップが踏める。今思えばサージュはあまりにも小柄だったため、歩幅も小さく、彼女の足を踏まないようにすることに気を取られていて、基本通りに動けなかった。
「なんだ、上手じゃないか」
「自分がこんなに踊れるなんて、思ってもみなかったわ。ダンスってこんなに楽しいのね」
 嬉しくなってラウルを見上げると、想像していたよりも近くに彼の顔があった。カミリアは照れて赤くなった顔を見せまいと、顔をそらす。
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