この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
「こんなに素晴らしい婚約者と優秀な執事であるあなたが付き添うのに、何を心配することがあるんですか。それに、愛の力は偉大なのですよ」
「そうですよ。ふたりの愛は確かです。それはオネストもよくご存知でしょう?」
叱責されたばかりのルナは、敬語で訴えかける。カミリアはむず痒い気持ちでふたりの言葉を聞いた。
(嬉しいんだけど、話の方向ズレてない? それに、ルナは私がラウルの婚約者じゃないって知ってるのに……)
ラウルを見ると、彼は口元を覆って肩を震わせていた。使用人達がいなければ、1発殴っていたところだ。
気を取り直してオネストを見ると、彼は諦めたようにため息をついた。
「分かりました、ソニア様にお任せします。私も同行したいところですが、他の仕事がありますので……。ソニア様、ラウル様が無理をしようものなら、引きずってでも連れて帰ってください」
「えぇ、もちろん」
オネストににっこり笑いかけて頷くと、ラウルはつまらなそうな顔をした。
(さっきまで私達が苦労して説得してたのを笑ってたんだから、これくらいいいでしょ?)
カミリアは一瞬だけ意地の悪い笑みをラウルに見せると、何食わぬ顔で食事を再開させた。
午後、ふたりは馬車に揺られてのどかな田舎町に到着した。田舎町と言ってもほとんどが畑で、家は視界に1軒あるかないかだ。
馬車は2階建ての立派な家の前で停まった。馬車から降りると、優しそうな老夫婦が出迎えてくれた。
「マルティネス公爵様、お待ちしておりました。そちらの女性は、恋人ですか?」
老婦人は、あたたかい眼差しをカミリアに向ける。カミリアが自己紹介をしようとすると、ラウルに肩を抱かれた。
「えぇ、こちらは婚約者のソニアです」
「まぁ、婚約者でしたの。公爵様もついにご結婚なさるのですね。こんな田舎まで、遥々ご足労いただき、ありがとうございます。私はクレアと申します」
「ソニアです。今日はよろしくお願いします」
クレアと名乗った女性は、握手をしようと手を差し出す。カミリアは皺だらけのその手を包み込むように握った。彼女の手はとてもあたたかく、どこか懐かしさを感じる手だった。
「そうですよ。ふたりの愛は確かです。それはオネストもよくご存知でしょう?」
叱責されたばかりのルナは、敬語で訴えかける。カミリアはむず痒い気持ちでふたりの言葉を聞いた。
(嬉しいんだけど、話の方向ズレてない? それに、ルナは私がラウルの婚約者じゃないって知ってるのに……)
ラウルを見ると、彼は口元を覆って肩を震わせていた。使用人達がいなければ、1発殴っていたところだ。
気を取り直してオネストを見ると、彼は諦めたようにため息をついた。
「分かりました、ソニア様にお任せします。私も同行したいところですが、他の仕事がありますので……。ソニア様、ラウル様が無理をしようものなら、引きずってでも連れて帰ってください」
「えぇ、もちろん」
オネストににっこり笑いかけて頷くと、ラウルはつまらなそうな顔をした。
(さっきまで私達が苦労して説得してたのを笑ってたんだから、これくらいいいでしょ?)
カミリアは一瞬だけ意地の悪い笑みをラウルに見せると、何食わぬ顔で食事を再開させた。
午後、ふたりは馬車に揺られてのどかな田舎町に到着した。田舎町と言ってもほとんどが畑で、家は視界に1軒あるかないかだ。
馬車は2階建ての立派な家の前で停まった。馬車から降りると、優しそうな老夫婦が出迎えてくれた。
「マルティネス公爵様、お待ちしておりました。そちらの女性は、恋人ですか?」
老婦人は、あたたかい眼差しをカミリアに向ける。カミリアが自己紹介をしようとすると、ラウルに肩を抱かれた。
「えぇ、こちらは婚約者のソニアです」
「まぁ、婚約者でしたの。公爵様もついにご結婚なさるのですね。こんな田舎まで、遥々ご足労いただき、ありがとうございます。私はクレアと申します」
「ソニアです。今日はよろしくお願いします」
クレアと名乗った女性は、握手をしようと手を差し出す。カミリアは皺だらけのその手を包み込むように握った。彼女の手はとてもあたたかく、どこか懐かしさを感じる手だった。