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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第5章 5章 陰謀渦巻く舞踏会
「ソニア、彼らが気になるのは分かるけど、普通の令嬢は見回り兵を気にしないよ」
ラウルに耳打ちをされ、前を向く。するとラウルは小さく笑い、彼女の肩を抱き寄せる。驚いて見上げると、ラウルは困ったように笑う。
「僕達は婚約してることになってるんだから、それらしく振る舞わないと」
「そうね、ごめんなさい。緊張しちゃって」
カミリアが身を寄せると、ラウルは満足げに微笑み、彼女の髪を撫でた。少し恥ずかしくもあるが、心地がいい。もう少し撫でてほしいと思ってしまった子供っぽい自分に、呆れ返るのと同時に少し驚いた。あれだけ嫌っていた男という存在に甘えたいと思う日が来るなんて、思ってもみなかった。
舞踏会場に着くとその絢爛豪華さに、目を見張る。まず目に飛び込んでくるのは大きなシャンデリア。そして色とりどりのドレスを着た淑女達。紳士達も立派な装いをしているが、やはり女性達の方が華やかだ。全員がつけている仮面も相まって、知らない世界に迷い込んだ気分だ。
壁際にはオーケストラもいて、優雅な音色を奏でている。
「別世界に迷い込んできたみたい」
「君も十分、この別世界の住人だよ。まずは挨拶回りをしないとね」
カミリアはラウルの挨拶回りに付き添う。てっきりフェガリ人にしか挨拶をしないのかと思ったが、ラウルはシャムス人にも挨拶をしてもらった。むしろ、シャムス人の割合が多く感じる。
「へデン伯爵、ご無沙汰しております」
「あぁ、フェガリの若造か。確か、ラウルといったな。仮面をしているというのに、よく私が分かったな」
「あなたの気品は、仮面では隠しきれませんよ」
「アムゼル夫人、お久しぶりです。男児をお産みになったと聞きました。貴女の子供なら、きっと聡明で美しい青年に育つでしょう」
「まぁ、マルティネス公爵ったら。フェガリからでは遠いでしょうけど、良ければうちの子を見にいらして」
「えぇ、もちろんです。以前アムゼル夫人がお気に召したワインと、ワインに合うチーズをお持ちしましょう」
こんな調子で、ラウルはシャムスの貴族達と挨拶を交わしていく。カミリアは意外に思いながら、その様子を眺めていた。
ラウルに耳打ちをされ、前を向く。するとラウルは小さく笑い、彼女の肩を抱き寄せる。驚いて見上げると、ラウルは困ったように笑う。
「僕達は婚約してることになってるんだから、それらしく振る舞わないと」
「そうね、ごめんなさい。緊張しちゃって」
カミリアが身を寄せると、ラウルは満足げに微笑み、彼女の髪を撫でた。少し恥ずかしくもあるが、心地がいい。もう少し撫でてほしいと思ってしまった子供っぽい自分に、呆れ返るのと同時に少し驚いた。あれだけ嫌っていた男という存在に甘えたいと思う日が来るなんて、思ってもみなかった。
舞踏会場に着くとその絢爛豪華さに、目を見張る。まず目に飛び込んでくるのは大きなシャンデリア。そして色とりどりのドレスを着た淑女達。紳士達も立派な装いをしているが、やはり女性達の方が華やかだ。全員がつけている仮面も相まって、知らない世界に迷い込んだ気分だ。
壁際にはオーケストラもいて、優雅な音色を奏でている。
「別世界に迷い込んできたみたい」
「君も十分、この別世界の住人だよ。まずは挨拶回りをしないとね」
カミリアはラウルの挨拶回りに付き添う。てっきりフェガリ人にしか挨拶をしないのかと思ったが、ラウルはシャムス人にも挨拶をしてもらった。むしろ、シャムス人の割合が多く感じる。
「へデン伯爵、ご無沙汰しております」
「あぁ、フェガリの若造か。確か、ラウルといったな。仮面をしているというのに、よく私が分かったな」
「あなたの気品は、仮面では隠しきれませんよ」
「アムゼル夫人、お久しぶりです。男児をお産みになったと聞きました。貴女の子供なら、きっと聡明で美しい青年に育つでしょう」
「まぁ、マルティネス公爵ったら。フェガリからでは遠いでしょうけど、良ければうちの子を見にいらして」
「えぇ、もちろんです。以前アムゼル夫人がお気に召したワインと、ワインに合うチーズをお持ちしましょう」
こんな調子で、ラウルはシャムスの貴族達と挨拶を交わしていく。カミリアは意外に思いながら、その様子を眺めていた。