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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第5章 5章 陰謀渦巻く舞踏会
ラウルやサウラから聞いた話から、シャムスとフェガリはもっとギスギスしていると思っていた。こんなににこやかに挨拶ができるのも、ラウルの人徳があるからこそなのだろう。
彼の人たらしもある種の才能で、外交に必要なものだと知る。
「ラウル?」
聞き覚えのある声に振り返ると、サウラがいた。黒髪が映える白い仮面をつけていても、風格が滲み出ていた。
「あぁ、サウラ。久しぶりだね」
ふたりは穏やかな笑みを浮かべ、握手をする。ラウルの表情は先程の貴族達と話している時よりも柔らかく見える。彼らは本当に親友同士なのだと実感した。
「そちらのレディは?」
サウラはカミリアに目を向ける。一瞬、何故そんなことを聞くのかと思ったが、自分とサウラは初対面ということになっているのを思い出した。
「彼女は婚約者のソニアだよ。ソニア、こちらはサウラ・ホワード。彼はシャムスの王子で、僕の親友なんだ」
「サウラ・ホワードだ、よろしく」
「初めまして、ソニアと申します。シャムスの王子様にお会いできて光栄ですわ」
白々しいやり取りに笑いを堪えながら、サウラと握手をする。思えば、サウラに触れるのはこれが初めてだ。
「それにしても、お似合いだな」
サウラは微笑ましそうにふたりを見る。気恥ずかしさに否定しようとすると、ラウルに肩を抱かれて言葉が引っ込んでしまった。
「婚約者ですから」
(後で殴ってもいいかしら?)
爽やかな笑顔でカミリアを自慢するラウルを見上げ、内心ため息をつく。いくら任務でも、サウラの前で婚約者を名乗ったり、仲がいいフリをするのは恥ずかしい。
「羨ましい限りだ。俺はまだ挨拶回りがあるから、この辺で失礼するよ」
そう言って立ち去るサウラは、どこか寂しそうに見えた。
「サウラが気になる?」
耳元で囁かれ、肩を揺らす。ラウルを見上げると、彼はイタズラっぽく笑っている。
「サウラは禁断の恋をしていてね。その恋を叶えるためにも、僕らはシャムスとフェガリを変えるのさ」
ふと、客間でのふたりのやり取りを思い出す。確かにあの時、サウラにも想い人がいるような口ぶりだった。好きな人がいるのはその時に察してはいたが、まさか禁断の恋をしているとは思いもしなかった。
彼の人たらしもある種の才能で、外交に必要なものだと知る。
「ラウル?」
聞き覚えのある声に振り返ると、サウラがいた。黒髪が映える白い仮面をつけていても、風格が滲み出ていた。
「あぁ、サウラ。久しぶりだね」
ふたりは穏やかな笑みを浮かべ、握手をする。ラウルの表情は先程の貴族達と話している時よりも柔らかく見える。彼らは本当に親友同士なのだと実感した。
「そちらのレディは?」
サウラはカミリアに目を向ける。一瞬、何故そんなことを聞くのかと思ったが、自分とサウラは初対面ということになっているのを思い出した。
「彼女は婚約者のソニアだよ。ソニア、こちらはサウラ・ホワード。彼はシャムスの王子で、僕の親友なんだ」
「サウラ・ホワードだ、よろしく」
「初めまして、ソニアと申します。シャムスの王子様にお会いできて光栄ですわ」
白々しいやり取りに笑いを堪えながら、サウラと握手をする。思えば、サウラに触れるのはこれが初めてだ。
「それにしても、お似合いだな」
サウラは微笑ましそうにふたりを見る。気恥ずかしさに否定しようとすると、ラウルに肩を抱かれて言葉が引っ込んでしまった。
「婚約者ですから」
(後で殴ってもいいかしら?)
爽やかな笑顔でカミリアを自慢するラウルを見上げ、内心ため息をつく。いくら任務でも、サウラの前で婚約者を名乗ったり、仲がいいフリをするのは恥ずかしい。
「羨ましい限りだ。俺はまだ挨拶回りがあるから、この辺で失礼するよ」
そう言って立ち去るサウラは、どこか寂しそうに見えた。
「サウラが気になる?」
耳元で囁かれ、肩を揺らす。ラウルを見上げると、彼はイタズラっぽく笑っている。
「サウラは禁断の恋をしていてね。その恋を叶えるためにも、僕らはシャムスとフェガリを変えるのさ」
ふと、客間でのふたりのやり取りを思い出す。確かにあの時、サウラにも想い人がいるような口ぶりだった。好きな人がいるのはその時に察してはいたが、まさか禁断の恋をしているとは思いもしなかった。