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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第6章 6章 光と影
「そうと決まれば、残り2日は予定変更だな。明日はシャムスとフェガリの新国王継承式、明後日はふたりの婚約パーティだ!」
ノクス王は無茶苦茶なことを言うと、一気にワインを煽った。そんなノクス王を、仕方ない人だと貴族達が笑う。
「陛下、いくらさっさと隠居したいからって、それは急すぎますよ」
「あぁ、まったくだ。明日急に王座から降りろと言ったら、父上が卒倒する。同時に継承式をやるのは構わんが、ちゃんと計画を立ててくれ」
貴族とサウラに注意され、ノクス王はふてくされる。
「最終日にラウルが時期国王に決まったことを発表してはどうだ?」
「おぉ、それは名案だ! ラウル、それでいいか?」
サウラの案に、ノクス王は目を輝かせる。はやく隠居したいという思いが伝わり、ラウルとカミリアは苦笑する。
「えぇ、それで構いませんよ。ただし、継承式の日取りはこちらでさせていただきます」
「俺としては、今すぐ継承したいところなんだがな」
「気持ちは分かるがノクス王よ、まずはふたりのハネムーンが先なんじゃないのか?」
「いいわね、ハネムーン。ところで、結婚式はどちらの国でやるのかしら?」
「両国で挙げてもいいだろう」
自分達の未来についてあれこれ言われ、くすぐったい気持ちになる。結婚はもちろん、ハネムーンなど、考えたこともなかった。
深夜、マルティネス家の馬車にはラウル、カミリア、ハーディの3人が乗っていた。ラウルとカミリアは隣同士に座り、ハーディがふたりの向かいに座っている。
「改めて、本当にごめんなさい……」
ハーディは深々と頭を下げる。カミリアは慌てて彼女の頭を上げさせた。
「ううん、いいの。私が助かったのは、ハーディのおかげなんだから」
「どういうこと?」
ハーディは小首をかしげ、ラウルは興味深そうにふたりを見ている。
「小さい頃、せめて浮くくらいはできなくちゃって教えてくれたでしょう? その時のことを思い出して水に浮いてたの。あの時の教えがなければ、私は溺れていたもの」
「カミリア……」
ハーディは今にも涙が零れそうな瞳でカミリアを見つめる。カミリアはまたこうしてハーディと話せることに、心の底から感謝した。
ノクス王は無茶苦茶なことを言うと、一気にワインを煽った。そんなノクス王を、仕方ない人だと貴族達が笑う。
「陛下、いくらさっさと隠居したいからって、それは急すぎますよ」
「あぁ、まったくだ。明日急に王座から降りろと言ったら、父上が卒倒する。同時に継承式をやるのは構わんが、ちゃんと計画を立ててくれ」
貴族とサウラに注意され、ノクス王はふてくされる。
「最終日にラウルが時期国王に決まったことを発表してはどうだ?」
「おぉ、それは名案だ! ラウル、それでいいか?」
サウラの案に、ノクス王は目を輝かせる。はやく隠居したいという思いが伝わり、ラウルとカミリアは苦笑する。
「えぇ、それで構いませんよ。ただし、継承式の日取りはこちらでさせていただきます」
「俺としては、今すぐ継承したいところなんだがな」
「気持ちは分かるがノクス王よ、まずはふたりのハネムーンが先なんじゃないのか?」
「いいわね、ハネムーン。ところで、結婚式はどちらの国でやるのかしら?」
「両国で挙げてもいいだろう」
自分達の未来についてあれこれ言われ、くすぐったい気持ちになる。結婚はもちろん、ハネムーンなど、考えたこともなかった。
深夜、マルティネス家の馬車にはラウル、カミリア、ハーディの3人が乗っていた。ラウルとカミリアは隣同士に座り、ハーディがふたりの向かいに座っている。
「改めて、本当にごめんなさい……」
ハーディは深々と頭を下げる。カミリアは慌てて彼女の頭を上げさせた。
「ううん、いいの。私が助かったのは、ハーディのおかげなんだから」
「どういうこと?」
ハーディは小首をかしげ、ラウルは興味深そうにふたりを見ている。
「小さい頃、せめて浮くくらいはできなくちゃって教えてくれたでしょう? その時のことを思い出して水に浮いてたの。あの時の教えがなければ、私は溺れていたもの」
「カミリア……」
ハーディは今にも涙が零れそうな瞳でカミリアを見つめる。カミリアはまたこうしてハーディと話せることに、心の底から感謝した。