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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第1章 1章 くすんだ太陽
「君、大丈夫か?」
カミリアは、黒髪の少年に手を差し伸べる。少年は一瞬ためらうも、カミリアの優しい微笑を見て、その手を取り、立ち上がる。
カミリアは片膝をついて少年の目線に合わせると、彼の服についたほこりを叩き落とした。
「ありがとうございます、カミリア様」
「私は当然のことをしたまでだ、礼はいらないよ」
少年は何か言おうとするが、口を閉してうつむいてしまう。カミリアは少年の顔を覗き込む。
「どうした? どこか痛むのか?」
「ううん……。あの、カミリア様は、どうしてそんなにお強いのですか?」
「幼少の頃から、剣の稽古をかかさずしていたからな」
カミリアが即答すると、少年は困った顔をする。カミリアは自分の回答のどこがまずかったのか考えるも、まったく思いつかず、彼女も困り顔になる。
「あの、えっと……騎士としての強さもすごいと思いますけど……。なんていうか、どうして、そんなに堂々とできるんですか?」
少年の言葉にようやく質問の意図を理解したカミリアは、あぁ、と納得して声を出す。この国では昔ほどではないとは言え、男尊女卑が激しい。仕事で上の立場に行くのはいつも男性で、女性が地位を手にすると、体を売ったと後ろ指をさされる。
女は愛想よく笑い、家事をこなしていればいい。大半の国民は、未だそんな考えを持っている。女には勉学など必要ない。ましてや、剣を握るなど考えられないと言われてきた。
「答えになるかは分からないが、私は負けず嫌いでね。女は家事だけしていればいいという考えが気に食わなかった。それに、勉強したいのに、女だからという理由で勉強をするなと言われて納得できなくてね。だから誰よりも賢く、強くなろうと必死になった。周りの目や陰口が気にならなくなるほどね」
「必死になって頑張れば、いつか報われるんですね? 僕も、カミリア様みたいな騎士になれるかな……?」
「痛みを知っている君なら、きっと優しくて立派な騎士になれるさ」
カミリアの言葉に、少年は目をきらきらと輝かせる。少年の尊敬や憧れのこもった眼差しに、カミリアはくすぐったい気持ちになる。
カミリアは、黒髪の少年に手を差し伸べる。少年は一瞬ためらうも、カミリアの優しい微笑を見て、その手を取り、立ち上がる。
カミリアは片膝をついて少年の目線に合わせると、彼の服についたほこりを叩き落とした。
「ありがとうございます、カミリア様」
「私は当然のことをしたまでだ、礼はいらないよ」
少年は何か言おうとするが、口を閉してうつむいてしまう。カミリアは少年の顔を覗き込む。
「どうした? どこか痛むのか?」
「ううん……。あの、カミリア様は、どうしてそんなにお強いのですか?」
「幼少の頃から、剣の稽古をかかさずしていたからな」
カミリアが即答すると、少年は困った顔をする。カミリアは自分の回答のどこがまずかったのか考えるも、まったく思いつかず、彼女も困り顔になる。
「あの、えっと……騎士としての強さもすごいと思いますけど……。なんていうか、どうして、そんなに堂々とできるんですか?」
少年の言葉にようやく質問の意図を理解したカミリアは、あぁ、と納得して声を出す。この国では昔ほどではないとは言え、男尊女卑が激しい。仕事で上の立場に行くのはいつも男性で、女性が地位を手にすると、体を売ったと後ろ指をさされる。
女は愛想よく笑い、家事をこなしていればいい。大半の国民は、未だそんな考えを持っている。女には勉学など必要ない。ましてや、剣を握るなど考えられないと言われてきた。
「答えになるかは分からないが、私は負けず嫌いでね。女は家事だけしていればいいという考えが気に食わなかった。それに、勉強したいのに、女だからという理由で勉強をするなと言われて納得できなくてね。だから誰よりも賢く、強くなろうと必死になった。周りの目や陰口が気にならなくなるほどね」
「必死になって頑張れば、いつか報われるんですね? 僕も、カミリア様みたいな騎士になれるかな……?」
「痛みを知っている君なら、きっと優しくて立派な騎士になれるさ」
カミリアの言葉に、少年は目をきらきらと輝かせる。少年の尊敬や憧れのこもった眼差しに、カミリアはくすぐったい気持ちになる。