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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第2章 騎士団長命令
 朝食を終えると、彼らは与えられた任務をこなしに行く。見回りに行く者もいれば、与えられた任務を遂行しに行く者もいる。それ以外の騎士達は鍛錬をしたり、軍学を学んだりしている。
 カミリアを含む約30人の騎士達は、ラウルと共に訓練所へ向かう。その際、これから任務に行く騎士達がラウルに声をかけに来た。

「ラウル団長、これから見回りに行ってきます」
「いってらっしゃい、ビリー。気が向いたらお菓子買ってきてよ。それ食べながら、午後はゆっくり作戦会議でもしたいな」
「あははっ、仕方ないですね」

「おはようございます、ラウル団長。護衛任務に行ってまいります」
「おはよう、アッシュ。気をつけてね」
「はい。団長も、お気をつけて」

 ラウルはひとりひとりの騎士と向き合い、軽い挨拶をしていく。ラウルと話をする騎士達は生き生きとしており、カミリアはなんとも言えない敗北感を味わうのと同時に、ラウルのコミュニケーション能力の高さに驚いた。
 カミリアが騎士団長をしていた頃は、あのような会話はほとんどなかった。カミリアは誰がどの任務に行くか把握していたので、わざわざ口頭で話す必要はないと考えていたし、騎士達も淡々と任務に向かっていた。
 雑談もほとんどなく、カミリアがいるだけで、程よい緊張感が生まれていた。

 騎士たる者、口を動かす暇があったら鍛錬に勤しむべき。カミリアは騎士としてそれが当然だと思いこんでいた。民や仲間、そして主君である国王を守るために、少しでも強くならなければいけないと。
 騎士達の笑顔を見た瞬間、その考えが否定されてしまったような気持ちになり、やるせなくなった。

「それじゃあ、皆の実力を知るためにも、僕と軽く手合わせしようか。ひとりずつおいで」
 ラウルは訓練用の木刀を構えた。騎士達は一瞬顔を見合わせると、ひとりの騎士がラウルの前に立った。
「好きなところからおいで」
「はああぁつ!」
 騎士は一気に距離を詰めると、大きく振りかぶってラウルの頭を狙う。ラウルは木刀を軽く跳ねのけると、脇腹を軽く叩く。
「胴がガラ空き。動きは最小限に」
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