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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第1章 1章 くすんだ太陽
ドゥムが言っている”お買い物”は、会議室で騎士団皆が使っているインクのことを指している。以前インクが切れかかっていることに気づいたカミリアは、見回りのついでにインクを買ったことがある。ドゥムはそれを”買い物好きの女が、仕事中に買い物をした”と嫌味を言い続けているのだ。
「いつまでそのことを言っているつもりだ? インクがないのに気づいたら、買うのは当たり前だろう。それに、君だって私が買ってきたインクを使っているじゃないか」
「フン、次から次へとよくもまぁ言い訳が出てくるものだ。女は口ばかりで嫌になる」
やれやれと肩をすくめるドゥムの喉に、カミリアはレイピアの切っ先を突きつけた。一瞬の出来事にドゥムは何が起きたのか理解するのに数秒かかり、カミリアの殺気に冷や汗を流す。
「男のくせに、随分と口が達者だな? ドゥム•モリス副団長。女でもそんなにねちっこく、ベラベラ喋っている者はいないぞ」
「くっ……! このアマ!」
不敵な笑みを浮かべるカミリアに、カッとなったドゥムは本音を零す。騎士団長の座を奪われた恨みがこみ上げ、額に青筋を立てる。
「お、おふたり共、どうか冷静になってください……」
「私は冷静だよ、ディアス」
緊迫した空気にあたふたするハーディに、カミリアは穏やかな声で話しかける。余裕のあるカミリアに斬りかかろうとドゥムが大剣に触れると、見回りをしていた騎士が慌てた様子で戻ってきた。
「だ、団長! 大変です、西の鉱山にトロール数体が出没しました! トロールを見かけた鉱夫が、命からがら逃げてきたとのこと」
「トロールが? ……分かった、すぐに討伐隊を編成しよう」
カミリアは不審に思いながらも、今いる騎士で部隊を作ることにした。西の鉱山は比較的魔物が少なく、いたとしてもコボルトやインプなどの低級モンスターだ。それらは鉱夫でも簡単に退治できるほど弱い。
トロールの様な強い魔物が出たという話は、滅多に聞かない。それでも万一のことがあってはいけないというのが、カミリアの考えだ。
「いつまでそのことを言っているつもりだ? インクがないのに気づいたら、買うのは当たり前だろう。それに、君だって私が買ってきたインクを使っているじゃないか」
「フン、次から次へとよくもまぁ言い訳が出てくるものだ。女は口ばかりで嫌になる」
やれやれと肩をすくめるドゥムの喉に、カミリアはレイピアの切っ先を突きつけた。一瞬の出来事にドゥムは何が起きたのか理解するのに数秒かかり、カミリアの殺気に冷や汗を流す。
「男のくせに、随分と口が達者だな? ドゥム•モリス副団長。女でもそんなにねちっこく、ベラベラ喋っている者はいないぞ」
「くっ……! このアマ!」
不敵な笑みを浮かべるカミリアに、カッとなったドゥムは本音を零す。騎士団長の座を奪われた恨みがこみ上げ、額に青筋を立てる。
「お、おふたり共、どうか冷静になってください……」
「私は冷静だよ、ディアス」
緊迫した空気にあたふたするハーディに、カミリアは穏やかな声で話しかける。余裕のあるカミリアに斬りかかろうとドゥムが大剣に触れると、見回りをしていた騎士が慌てた様子で戻ってきた。
「だ、団長! 大変です、西の鉱山にトロール数体が出没しました! トロールを見かけた鉱夫が、命からがら逃げてきたとのこと」
「トロールが? ……分かった、すぐに討伐隊を編成しよう」
カミリアは不審に思いながらも、今いる騎士で部隊を作ることにした。西の鉱山は比較的魔物が少なく、いたとしてもコボルトやインプなどの低級モンスターだ。それらは鉱夫でも簡単に退治できるほど弱い。
トロールの様な強い魔物が出たという話は、滅多に聞かない。それでも万一のことがあってはいけないというのが、カミリアの考えだ。