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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第3章 国令
サウラの話を聞く限り、確かにマルティネス公爵には護衛が必要だが、シャムス人であるカミリアが任命される理由が分からない。第一、フェガリの騎士団が面白くないだろう。
「さっきも言ったように、フェガリの政治や貿易は進んでいるが、その代わり、武力が心許なくてな……。治安がいい上に凶暴な魔物もほとんどいないから、実戦経験がほぼないそうだ」
「事情は分かりましたが、ラウル団長でなくていいのですか?」
「あぁ、彼には違う任務を前から頼んでいる」
ふと、ラウルの姿を見ない日が増えてきたことを思い出す。実力を認めているとはいえ、ラウルの方が先にサウラの直令で動いているのが、少し悔しい。
「最近団長の姿を見ないのは、そういうことでしたか」
「あぁ、そうだ。そのうち合流してもらう。騎士団にもな」
「どういうことです?」
「交友の証として、シャムスの騎士団で交友パーティの警護をしてもらう」
カミリアの頭の中が疑問符でいっぱいになる。極秘任務というから、てっきり自分だけがフェガリに行くのかと思っていた。任務内容は違うとはいえ、彼らと顔を合わせるというのに何が極秘なのだろう。
自分の任務がどう極秘なのか聞こうとしたところで、ドアがノックされる。
「サウラ王子、マルティネス公爵様がお見えになりました」
「ちょうどいいところに来たな。入れてくれ」
カミリアは予想より早くマルティネス公爵と顔を合わせることに困惑しながらも、姿勢を直した。
ゆっくりどドアが開かれ、ひとりの青年が入ってくる。金の刺繍が入った紺色のコートとトラウザーズに身を包む美青年を見て、カミリアは驚きのあまり言葉を失う。
「やぁ、カミリア。3日ぶりだね、寂しかった?」
ラウルは柔らかな笑みを浮かべ、片手を上げた。
「ラ、ラウル団長……。これは、いったい……」
「あははっ、驚いた?」
ようやく口を開いたカミリアに、ラウルはイタズラっ子のような笑みを向ける。それを見ていたサウラは、呆れ返ったようにため息をついた。
「ラウル、お前本当に何も話していなかったんだな」
「当たり前だろう? 話したら、皆遠慮するじゃないか。それより、任務についてはちゃんと話してくれた?」
「まだお前の護衛をしてもらうことしか言ってない。後は自分で説明しろ」
サウラはめんどくさそうに言うと、冷めた紅茶を飲み干した。
「さっきも言ったように、フェガリの政治や貿易は進んでいるが、その代わり、武力が心許なくてな……。治安がいい上に凶暴な魔物もほとんどいないから、実戦経験がほぼないそうだ」
「事情は分かりましたが、ラウル団長でなくていいのですか?」
「あぁ、彼には違う任務を前から頼んでいる」
ふと、ラウルの姿を見ない日が増えてきたことを思い出す。実力を認めているとはいえ、ラウルの方が先にサウラの直令で動いているのが、少し悔しい。
「最近団長の姿を見ないのは、そういうことでしたか」
「あぁ、そうだ。そのうち合流してもらう。騎士団にもな」
「どういうことです?」
「交友の証として、シャムスの騎士団で交友パーティの警護をしてもらう」
カミリアの頭の中が疑問符でいっぱいになる。極秘任務というから、てっきり自分だけがフェガリに行くのかと思っていた。任務内容は違うとはいえ、彼らと顔を合わせるというのに何が極秘なのだろう。
自分の任務がどう極秘なのか聞こうとしたところで、ドアがノックされる。
「サウラ王子、マルティネス公爵様がお見えになりました」
「ちょうどいいところに来たな。入れてくれ」
カミリアは予想より早くマルティネス公爵と顔を合わせることに困惑しながらも、姿勢を直した。
ゆっくりどドアが開かれ、ひとりの青年が入ってくる。金の刺繍が入った紺色のコートとトラウザーズに身を包む美青年を見て、カミリアは驚きのあまり言葉を失う。
「やぁ、カミリア。3日ぶりだね、寂しかった?」
ラウルは柔らかな笑みを浮かべ、片手を上げた。
「ラ、ラウル団長……。これは、いったい……」
「あははっ、驚いた?」
ようやく口を開いたカミリアに、ラウルはイタズラっ子のような笑みを向ける。それを見ていたサウラは、呆れ返ったようにため息をついた。
「ラウル、お前本当に何も話していなかったんだな」
「当たり前だろう? 話したら、皆遠慮するじゃないか。それより、任務についてはちゃんと話してくれた?」
「まだお前の護衛をしてもらうことしか言ってない。後は自分で説明しろ」
サウラはめんどくさそうに言うと、冷めた紅茶を飲み干した。