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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第1章 1章 くすんだ太陽
 中腹辺りまで来ると、道が3本に別れている。
「俺達はこっちの方行きますね」
 ドゥムは崖に沿った道を勝手に進む。ドゥム派の騎士が、その後についていく。
「いいんですか、勝手に行っちゃいましたけど」
「いつものことだ。半分はディアスと、残り半分とラウルさんは、私と行動すること。私達は真ん中の道を行く」
 カミリア達はふた手に別れると、それぞれの道を行った。

 カミリア達が進む真ん中の道はあまり使われていないらしく、整備されていない。岩が転がる道を進んでいくと、緑が徐々に増えていく。さらに進むと森になっていた。
 森には多くの魔物達が生息している。彼らを刺激しても、お互いにいいことはない。ゴブリンのような低級モンスターならまだしも、バジリスクやコカトリスに遭遇しては厄介だ。

「この先は危険だ。引き返すぞ」
「はっ!」
 カミリア達が引き返すと、ハーディ達がすでに戻っていた。

「ケリー騎士団長、ご無事で何よりです。こちらは行き止まりで何もありませんでした」
 ハーディは敬礼をすると、簡潔に報告をした。
「そうか。こちらは森だったので引き返してきた。あとは……モリス副団長か……」
 ラウル以外の表情に翳りが見える。ここにいる騎士は全員がカミリア派だ。ドゥムはカミリア派の人間にも風当たりが強く、特に女性騎士には厳しい。

「皆さん、副団長のこと嫌いみたいですね」
「え? いや、そんなことは……」
 正直に言うと嫌いだし、はやく辞めてもらいたい。だが、そんな本音を口にするのは騎士としてというより、人としてためらわれた。どう答えようか考えあぐねいていると、ドゥム派の騎士がひとり、慌てた様子で戻ってきた。

「ケリー騎士団長、大変です!」
「どうした?」
 ドゥム派の騎士の丁寧な呼び方に違和感を覚えるも、緊急事態でそんなことをいちいち問い詰めるわけにはいかない。騎士は息を整えると、敬礼をする。
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