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濡れた視線(改定版)
第6章 蛍の求愛
『どうかしたの…?』頬を紅く昂揚させ、甚平に覆われた太腿をぎゅっと一掴みした勇矢。

そんな勇矢の変化を見逃す訳もなく、潤子は潤ませた瞳を見開き、その甚平の股間を一瞥すると、間違いなくED治療薬に誘発された効果と確信し、それはブランチを作る過程で、潤子が混入させた勃起誘発剤によるもので、今は亡き夫の為に買い置いていた製剤だった…。

本来は食前に半錠から1錠服用すれば効果が顕れるものを、食事と併用させるイレギュラーな事も危惧し、ラップに2錠の錠剤を包み、勇矢に悟られぬよう敢えてアイスピックの柄で顆粒状にさせたもので、それも一時でも勇矢を感じ、繋ぎ止めておきたい純粋な潤子の感情がもたらした行為であり、なにより勇矢の白濁の証を受け留めたい…!と、いう願いが込められていた。

『勇矢さん、ちゃんと出さないからよ。私がすっきりさせてあげる…』甚平の股間に痛々しく浮かぶ漲りを見覚え、潤子は何も知らない勇矢の手を引くと、真っ直ぐに浴室へと向かった。

浴室の窓から燦燦と陽射しが降り注ぐ昼下がり、水辺の畔に集う子供達の歓声が野鳥の鳴き声に紛れて届けられ、そんな長閑な時間が流れる外界に背くように、白昼堂々真っ裸で陸み合う潤子と勇矢。

『はぁっう あぁうっ はぁっう』肩を並べ、互いの口腔を貪り合う水面の下で、枝垂れた釣鐘型の乳房をたおやかに揺らし、怒張した勇矢の漲りを手の中で薫らせる潤子。

『ひょっとして後悔してる?私という存在も含め、重く捉えないで欲しいの。多くの可能性を秘めた貴方の未来に対し、足枷になろうとは思っていないから…』

『以前貴方に打ち明けたとおり、28歳で亡き夫の元に嫁ぎ、性的不能という夫の問題と向き合う18年、一度として満たされることは無かったわ…。その気になれば浮気の一つ位は出来たけど、誰でも良かった訳じゃ無かったし、そんな或る日、船本勇矢という男性が私の前に現れ、雄としての魅力に溢れた貴方に惹かれ、私の中で抑え込んでいたオンナがグツグツと再燃し、47歳を前にしたこの躰。女としての賞味期限も僅かしか残されていない今、私の中のオンナを存分に実感したい…!貴方と出会い、素直にそう思えたの…』

重ねた豊かな経験からなのか、潤子は今、隣で肩を寄せる勇矢の心情を図るかのように、額から珠のような汗を噴き出しながら、真っ直ぐに自分の思いを告げた。
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