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濡れた視線(改定版)
第7章 墨画の女
(あぁっつ!艶めかしい陰肉の欠片、まるで誘っているように…)その再生されるスローモーションな映像が勇矢の視界から外れると、再びその場面まで巻き戻し、キャプチャー画像で停止させた映像を食い入るように見つめると、ロックグラスに残るシングルモルトを煽るように飲み干し、リビングのテーブルの下で怒張してみせる漲りを手に、再び燻らせるように愛で始めていた勇矢。

と、そのテーブルに置いた携帯が再びけたたましく鳴り響くと、今度は潤子からの携帯電話の着信を告げるもので、すぐさまスピーカーフォンにしてリビングのテーブルに据え戻すと、甘く濡れたような潤子の声を耳にしながら、その怒張した漲りを愛でる左手は休むことなく続いていた。

《綾ちゃん、凄い才能なのね!墨の濃淡でこんなに旨く描けるなんて、でも誰がモデルなんだろう?ねぇ、実物を見たいんだけど、これから部屋に入って良い?》

《はぁっ、はぁっ、潤子さん、他の住人に感づかれたら不味く無い?》

《だって平日の22:00過ぎよ?皆さん部屋の中で各々過ごしてる時間帯でしょ、そっと音を潜めながら行くから、ね?》

《判った、はぁっ!はぁっ!はぁっ!ね、ねぇ潤子さん…》

《なんか声がおかしく聞こえるけど、酔ってるの?》

《なんか今夜、欲しいかも…》《えっ!今なんて言ったの…?》

《あぁっ、はぁあ、あぁっ、はぁっ、凄く欲しいよ潤子さん…》

《……今してるのね?勇矢さんの声で私も…。ねぇ、写メで送れる?》

仄かな酔いに艶めかしく誘う響子の停止画、そして携帯越しに聞く甘い潤子の声。
勇矢の視覚と聴覚をクロスするような誘惑に悶々とし、おもむろに通話を切った勇矢は剥き出しにした漲りをパシャリと映し撮ると、天を仰ぎ見るその見事な漲りをラインに添えて返していた。

【嬉しぃ!こんなにも大きくして♥我慢してたのね?待ってて、直ぐ行くから】と、潤子からのラインが間髪入れずに送り返され、PCのビデオ再生を止め、見開いたデスクトップを閉じて書棚へと戻すと、勇矢はチェイサー代わりの炭酸水でグビグビと喉を鳴らし、その太腿まで脱ぎ降ろしたパジャマパンツを穿き直し、静かにその時を待っていた。

そして周囲に配慮するように敢えてドアフォンを鳴らさなかった潤子は、勇矢の部屋の鉄扉をトントンと鳴らし、自分の到着を知らしめていた。
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