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また桜は散り過ぎて
第13章 クリスマスの夜に
 突然の話題転換に小西さんは、面食らったように目を開いていた。
「小西さんは、誰か決まったお相手がいるんですか?」
「えっ?」
さらに目を丸くして驚いていた。
 言葉が出てこないのか、考えているのか、小西さんの口からは
言葉どころか声もでてこない。
少し沈黙して、それでもここは答えなければと気持ちを奮い立たせたのか、
フッと短く息を吐いた。
「まだ決まっていませんが、素敵な女性だと思っている人は、います。
 その方が私の事を受け入れてくれればいいけれど、もし他に好きな人がいるようなら・・
 諦めます・・」
「諦めちゃうんですか?」
小西さんは口を真一文字に結んだ。
「・・私の知っている人は、自分のものになるはずだと強気にぐいぐい行くみたい。
 でも・・それを喜ぶ女ばかりじゃあないと思うんです。
 あはっ!やっぱり小西さんは小西さんですね。好きですよ、そういうとこ」
 小西さんの横顔は、寂しそうにも見えるけど、清々しくも見える。
うんうんと肯きを繰り返してから、がんばります、と微笑んだ。
そして私の目をじっと見つめながらこう付け加えた。


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