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また桜は散り過ぎて
第14章 新しいレール
そろそろ桜のつぼみが目立ち始めてきた。
あと半月くらいでその可憐な花を咲かせ、人々を魅了する。
いろいろな場面で区切りとなる3月。私の東京での生活もあとわずかとなった。
「ねえ、ほんとは結婚かなんかするんじゃないの?」
同僚の柳田さんはまだ疑っている。
「だからぁ!違うっつーのに!寿だったらみんなからご祝儀たんまりいただくわよ」
「じゃあホントに違うんだ・・」
「町田さん長かったよね、ここ。大学卒業してからずっとだと、10年以上だよねえ?
もったいない気もするけど・・」
横から会話に加わってきたのは先輩の片桐さん。
食べ仲間が減って寂しいねと片桐さんと柳田さんが別れを惜しんでくれるのを見て、
少し心がぐらついた。
「10年以上一つ所でがんばれたっていのはすごい自信になってるし、
離れるのは私も寂しいけど。でもまだまだ人生長いし、いろんなことやってみたいしね。
そうだ、気がむいたら遊びに来てくださいよ。
同級生の家が旅館やってるんで、格安で泊まれるよう交渉しますから。
段々温泉が似合う歳になってきたからね、先輩も柳田ちゃんも」