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また桜は散り過ぎて
第3章 一つ目の桜
「晴海ちゃんほんとに好きだよね、シチューパン。気に入ってもらえてうれしいよ」
言わずとも出てきたビールにすぐに手を伸ばし、
喉を震わせながら肯く仕草を大げさにしてみせた。
店の名物、特製シチューパン。
大きな丸いパンをくり抜いて、その中にビーフシチューがたっぷりと入っている。
牛肉の柔らかさはもちろんだが、ドミグラスソースの味が濃厚で、
一度食べたら病みつきになった。
「省吾さんの作る料理、どれも美味しいよ。バーテンダー兼コックさんみたい。
もしかしてコックさんやってたとか?」
「実は若い頃洋食屋で働いてたんだ。それも銀座のね。
想像つかないかもしれないけどホントの話」
私のためのシチューパン作りをする手を動かしながら顔を上げる。
耳にかけた少し長めの髪がさがり、その隙間から向けられた柔らかい眼差しは、
私の心に潤いをもたらした。
言わずとも出てきたビールにすぐに手を伸ばし、
喉を震わせながら肯く仕草を大げさにしてみせた。
店の名物、特製シチューパン。
大きな丸いパンをくり抜いて、その中にビーフシチューがたっぷりと入っている。
牛肉の柔らかさはもちろんだが、ドミグラスソースの味が濃厚で、
一度食べたら病みつきになった。
「省吾さんの作る料理、どれも美味しいよ。バーテンダー兼コックさんみたい。
もしかしてコックさんやってたとか?」
「実は若い頃洋食屋で働いてたんだ。それも銀座のね。
想像つかないかもしれないけどホントの話」
私のためのシチューパン作りをする手を動かしながら顔を上げる。
耳にかけた少し長めの髪がさがり、その隙間から向けられた柔らかい眼差しは、
私の心に潤いをもたらした。