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また桜は散り過ぎて
第3章 一つ目の桜
「どうしたの?何か困っているの?」
パッと見て、素敵な男性なのはわかったけど、今の自分の状態では
とても作り笑顔などできない。
とにかく店探しに協力してもらいたい、その一心で助けを求めた。
「お店探してるんですけど全然わかんなくって。これ、なんて読むんですかね?
 イタリアンだっていうんですけど見つけられなくて」
言いながらスマホの画面を男に向ける。
眉間に皺を寄せながら画面を凝視した男はすぐに表情を緩め笑い声さえ漏らした。
「これね、コロッセオ。ピザが美味しい店ね、あそこの」
そう言って道路の斜め向かいを指す。
入り口にワイン樽が置いてある店の前はさっきも通り過ぎた。
前を通過した時には目に入らなかったがワイン樽の上には黒板が置いてあり、
チョークでイタリア国旗とピザの絵が描いてあった。
そしてドアの上には「COLOSSEUM」と書かれた看板があった。

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