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また桜は散り過ぎて
第3章 一つ目の桜
「あ・・あった・・」
見つけられた安ど感と共に虚脱感も襲ってきた。早く座りたい、と足がふらふらしてきた。
「あそこね、意外とわかんないんだよ。
 ちょっと入り口がへこんでるじゃん、だからじゃねえかって山ちゃんが言うんだけどね。
 あ、山ちゃんってあそこの店長ね。その店長がさ」
話し好きらしい。人も良さそう。それになんといってもイケメンだし、
最後まで話を聞いてあげたいところだけど、すでに約束の時間を過ぎている。
これ以上は付き合えない。
「あの、ごめんなさい、私もう行かないと。
 どうもありがとうございました、助かりました」
二度三度と頭を下げてから男に背を向けると、
「今度うちにも寄ってね。ここ、バーだけど食事もできるから。もう場所わかるでしょ?
 ピザ屋の斜め向かいだから。じゃあ、楽しい夜を!」
振り返ると、にっこりと微笑み片手をあげていて、目が合うと安心したようにうなずいて、
そして店の中へと戻っていった。

これが私と省吾さんとの出会いだった。




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