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また桜は散り過ぎて
第4章 喫茶・桜葉
「今日はケーキセットが半額です。ケーキは全部私の手作りなのでよかったら」
手作りのケーキ?と目を輝かせてメニューを手に取る。
4種類ほどのケーキの写真があり、一つ一つをじっくり見ていると、
「小西さん、お願いします!」と声がした。
はい、と頭の上で返事が聞こえ、
「お決まりになったらお呼びください」と店主はいったん戻っていった。
・・小西さんっていうんだ。桜葉さんじゃなかったんだ・・
桜葉という名字だと思っていた。でもそれはただの思い込みで、
名前は小西なにがしさんだった。
・・よかった、省吾さんに言わなくて・・
あなたと同じ名前の人らしい、と言ってしまった後で実は違ってました、
なんて、かっこわるいもん・・
 再びメニューの写真に視線を注ぐ。やはり最初は王道のチーズケーキだな、
と心を決めた。
お願いしますと声をかけたいところだが、店内はにぎやかな話し声があふれているので、
カウンターのほうにむけて手を挙げた。
 すぐに来てくれた店主にチーズケーキのセットを注文する。すると店主は、
「ちょうど最後の一つなんですよ、間に合ってよかったです」
にっこりと笑ってカウンターへと戻っていった。




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