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また桜は散り過ぎて
第6章 さくらバーで惑わされ
「省吾さん、もしかして私をオンナとしてみてくれてんのかしら?」
思い切って虚勢を張ってみた。彼の反応を見てみたい。
そうだと肯定してくれるのか、それとも冗談でしょ、と跳ね返されるか。
 省吾さんは、すぐに反撃しそうな大げさに開いた眼をしたけれど、
口を開いたのは一呼吸おいてからだった。
「ふう・・そうだね、素直な気持ちで言えばちょっとヤイテルかも。
 もしも男がらみだったら・・悔しいですねぇ」
 思わず息をのんだ。こんなふうに言ってくれたらなんてさんざん妄想していたくせに、
現実に言葉になって彼の口からこぼれ出たのを目の当たりにしたら、
心がゆさゆさ揺さぶられて、小さな震えさえ襲ってきた。
・・省吾さんが私を女性として見てくれている、意識してくれている?
もしそれが本気なら・・
本気なら、私はどういう言葉を返せばいいのだろう。
いざとなると、出てこない・・
「ダメだよ、晴海ちゃん、だまされちゃ。
 言いよってはパク、言いよってはパクって、女を食い物にしちゃうんだから、この男は。
 俺みたいな誠実な男の方が安心よ」


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