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また桜は散り過ぎて
第7章 休日に出会った偶然
「両親が離婚したのは私が中学生の時でした。弟は小学生。
離婚するにあたり、私たち兄弟は離れ離れになってしまいました。
母は弟だけを連れて家を出て、私は父と一緒に暮らすことになりました。
本音を言えばね、弟と一緒に母と暮らしたかった。
でも子供二人の面倒を見るのは負担だったのでしょう。
お兄ちゃんはお父さんと一緒にいてあげてと、私を残していきました。
父は、前にお話ししましたけど料理人として立派な人でしたけど、
仕事がら帰りは遅くて。
私一人で晩御飯を作って食べ、父の顔を見てすぐに寝るという生活でした。
寂しかったです。
でもだからといって新しいお母さんが欲しいとかは思わなかった。
父も再婚はしませんでした。
高校は調理の勉強ができる学校に行き、卒業と同時に料理の世界へ入りました。
和食や洋食や中華、いろいろな店を渡り歩いて、
かれこれ30年近くなるって時になってはじめて自分の店を持とうと決めたんです。
でもなぜか喫茶店。おもしろいでしょ?」