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また桜は散り過ぎて
第1章 変化は出会いへ繋がる
 最初は夢見心地だった。楽しかった。
でも付き合う前に住んでいた下町から都会の真ん中の町に引っ越しを勧められた辺りから
なんとなくズレを感じだした。そして見つけた割高のワンルームマンションに、
彼が頻繁に泊まるようになってから息がつまりだした。
「仕事で遅くなったから泊めてくれる?」
 彼の会社は地下鉄で一駅ほど。
本当は一人でゆっくり眠りたいけど、恋人の頼みは断れない。
いつもいつもいいよと受け入れていた。

 しだいに窮屈さを感じ、ある時申し出を断ってみた。
すると、寂しげなようで不機嫌な息遣いを私に聞かせた。
言葉では残念だとか言っておいて、
その裏側では舌打ちをしているような、そんな雰囲気を感じ取った。


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